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ブラジルにもオレオレ詐欺=カンピーナス市=デカセギ中の息子を騙り=「オレだよ、オレ」と電話=総領事館「必ず本人に確認を」

11月6日(木)

 子供や孫を装って「オレだよ、オレ」などと電話し、お年寄りから金を騙し取る「オレオレ詐欺」――。日本各地で多発しているこの詐欺が、日系社会にも手を伸ばしつつある。サンパウロ総領事館(石田仁宏総領事)が先日開いた安全対策会議で、警備担当の大熊博文領事が被害状況などを説明。今年九月、出稼ぎ中の息子を持つカンピーナス市在住の家族に、同様の詐欺を持ちかける電話がかかったという。

 高齢者宅を対象に、「オレだよ。オレ」と名乗らず電話をし、家族らが「誰々かい」と呼び掛けると「うん」と返答。安心した家族らに「事故をしたからお金がいる」などと指定口座に振り込ませるのが一般的な手口。警視庁の調べによると今年三月から八月までに東京都内だけで五百八十五件、被害総額三億六千六百万円に上るという。
 サンパウロでも今年に入って、サンパウロ総領事館職員を名乗り、「事故を起こした息子さんに代わって賠償金を払うから金を支度して」などという詐欺は頻発しているため、同総領事館は「領事館の職員が金銭のやり取りをすることはない。不審な場合は確認を」と注意喚起を促していた。
 同総領事館によると、九、十の両月にカンピーナス、アチバイア、ソロカバの三市で同様の詐欺未遂が発生。特にカンピーナス市では「出稼ぎ中の息子さんが事故を起こした。弁償代を立て替えているので、職員に金を渡して」という所まで同様だが、不審に思った家族が「息子と話したい」と希望。「風邪で声がかすれているけどオレだ」と本人に成り済ました男が家族と話したという。
 従来、サンパウロ市内で多発していた詐欺は日本語で電話をかけていたが、今回は同市郊外を対象に、ポルトガル語で電話しているのが特徴。同総領事館は、被害届を出すのはごく一部だけに、実際はもっと多くの被害や未遂事件が起きている可能性があると分析する。大熊領事は「不審な電話がかかってきたら、必ず日本の本人と、領事館に確認して下さい」と注意を呼び掛ける。
 警察庁は、ホームページの中で「オレオレ詐欺」についての対策を紹介している。(1)電話を受けた場合には、必ず相手に名前を名乗らせること(2)いったん電話を切って、自分から家族に電話し確認する(3)振り込む前に親戚か警察に相談する――など。
 問い合わせは同総領事館(11・287・0100)へ。

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