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その道の真のプロを表彰=松尾教授、農業部門で受章=農薬散布の研究者

11月19日(水)

 毎年、優れた業績を残した建築家や技術者、農業技師に贈られる「Medalha de merito profissional」(農業・農業技術評議会設定)。その農業部門に今年、ジャボチカバウ農科大学教授の松尾智勝さん(二世、六一)が選ばれた。同氏は、農薬散布の研究においての先駆者。五十八年のメダル創設以来、日系人が受賞するのは初めてだとみられる。
 松尾さんはサンパウロ州ポンペイア市近郊のジャクチンガ移住地で生まれた。父、元清さん(故人、宮崎県出身)は妻子を伴って三八年に移住。数年後に同移住地に移り住んだ。七人兄弟の末っ子。
 移住地には小学校三年生までしかなく、中、高学年になると、ポンペイアまで片道十キロの道程を徒歩で通った。「うち五キロは、カフェの樹の間を縫って歩いた」。自然との触れ合いが農学に向かわせた。
 ジャボチカバウ大学卒業、七三年に同大学で博士号を取得した。ロベルト・ロドリーゲス農務大臣はクラスメイト。当時、農薬散布の研究者がブラジルにほとんどいなかったため、七八年にイギリスに留学。ノウハウを学んだ。
 国連食糧農業機関(FAO)に招待を受けて、九七年に、農薬散布の世界標準つくりに参加した。
 ジャクチンガ会が十五日、岩手県人会で開かれ、松尾さんはジャボチカウより駆けつけた。原点は同移住地にあると考えているからだ。
 国井精会長は「後輩の智勝くんが日系人で初めての快挙を成し遂げた」と紹介すると、出席者たちは喜びの声を上げた。あいさつに立った松尾さんは「幸せの気持ちでいっぱい。言葉にするのは難しい」と話した。
 授章式は十二月十日、ブラジリアのブルツリーホテルで開かれる。過去にはジュセリーノ・クビシェッキ大統領、建築家のルシオ・コスタ氏などが受賞している。

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