ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

 ブラジルの一般国民に「日本」というものが「すごいな」と知られた端緒の一つは、市販の電子機器製品の優秀さである▼最近では、天体望遠鏡製作・観測技術。さきごろ、国立天文台や東北大などの研究チームが、ハワイ・マウナケア山頂天文台の「すばる」を使って、地球から最も遠い、新しい銀河(約百二十九億光年)を発見した。この発見前の一番遠かった銀河の発見も、この「すばる」だった。今度の発見によって、宇宙がどのようにできたか、まで解明するのに役立つという▼ブラジル国内のマニアたちは、もう知っているだろう。こうした画期的な「すばる」のこと、新銀河発見のこと、できる早期に、特にブラジルの年少層国民に広報したい▼つぎは、ピアーダの延長ともいえるが…。六〇年代の初めごろ、地方の農村労働者と日常会話を交わす機会があった。相手は、ブラジルの大きさを自慢したかった。日本は小さい国だという先入観があり、飼っている牛が海に落ちないようセルカ(囲い)しなければならないだろう、と言った▼映画で観るチョンマゲ姿が、二十世紀になってもそのへんを歩いているのではないか、とまじめに考えていたフシがある▼こうした農村労働者たちにも、未知の国日本を「こうだ」とばっちり認識させたのは、高度成長、技術革新の粋ともいうべき電気・電子機器であった。例えばトランジスタラジオ―これは日本の日本人がつくったのだと知って、かれらは見方を改めたのである。(神)

03/11/28

image_print