11月29日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】地理統計院(IBGE)は二十七日、国内六大都市で十月の失業率が九月と同率の一二・九%で、昨年十月の一一・二%を上回ったと発表した。失業者の四〇%を占めるサンパウロ市の失業率は、一五%に達し記録を更新。失業率は例年、年末特需で下半期に低下するのに、今年は例外のようだ。また月間所得も、昨年同月比で一五・二%減となった。一方、DIEESE社はIBGEと異なり、大サンパウロ市圏の失業率を二〇・四%とし、一九八五年以来最高の失業率と発表した。
基本金利の引き下げと景気回復にかかわらず、十月の失業率は改善の兆候がなかった。企業家にとって経済環境は新規の設備投資を行う状況にないようだと、IBGEはみている。高金利下で設備投資は行われず、雇用創出も起きないと関係者はいっている。
例年の年末景気も、今年はなかった。就職前線は八月から極度に悪化した。六大都市の稼働人口は三千七百万人、就労人口は千八百六十万人で約半分。失業者は二百七十六万人、その他は苦学生や高齢者、主婦などの予備軍。十月の就労人口から七万一千人が解雇された。五十万人が職を求め巷間をさまよっている。
労働者の所得は、十カ月間にわたり続落した。所得の昨年同期比一五・二%減は、一年間に〇・六最低賃金が蒸発したことになる。十月の平均所得は、九百八十レアルから八百三十レアルへ低減した。就労希望者の増加に伴う雇用創出も設備投資も行われないことで、政府経済スタッフの無為無策が問われている。
失業率の増大は、庶民を自暴自棄へいざない社会混乱を引き起こすと労組はいう。中央労組のパウリニョ理事長は、社会不安に対する政府の無関心さを非難した。国民の窮状を無視し高金利政策に固執、生産経済から金融経済へ乗り換えた。雇用創出のための政策不在、無秩序な国家予算のばらまき政策を指摘した。
パロッシ財務相は失業率の増大に言及して、上半期の高金利政策と緊縮財政がボディー・ブロー(胴体への一撃)となって産業に衝撃を与えたことを認めた。しかし、ブラジルの将来を考えると必要であったと述懐した。不況は緊縮財政の結果ではなく昨年の金融危機の後遺症だったと、財務相はいう。