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4万6千R$を詐欺=デカセギ留守家族狙う

12月11日(木)

 日本へ出稼ぎに行った日系人留守家族を狙った金銭目的の詐欺事件が相次ぐ中、十一月下旬、サンパウロ州ジャカレイ市で同様の手口で合計四万六千レアルを騙し取られる事件が発生した。九日、サンパウロ総領事館が明らかにした。今年三月頃から被害が発生しているが、これほどの大金は初めて。
 事件の被害者は六十歳代の日系二世女性で、「日本に行っているあなたの家族が交通事故に遭いました。けがはなかったが車が壊れた。弁償にお金が必要」などと〃パウロ・ヒデオ〃を名乗る男から電話があり、七千五百ドルを要求された。
 すぐに指定された銀行に向かったところ、男の代理人を名乗る非日系男性に「金額が一万八百ドルに変わった」旨を告げられた。銀行で手続き中、今度は銀行に〃パウロ・ヒデオ〃から電話があり、金額が再度変更され、三万五千レアルになったと知らされた。
 指示通り引き出し銀行を出ると、代理人の姿は消えていた。帰宅後、再び〃パウロ・ヒデオ〃から電話があり、自宅付近のバス停で現金を代理人に預けるよう命じられ、その男に三万五千レアルを手渡した。
 翌日、さらに〃パウロ・ヒデオ〃から「昨日払ってもらった金額の税金分一万千レアルが足りない」と電話があったため、前日と同様の方法で代理人の男に支払った。
 この事件は、状況を聞き知った被害者の知人から総領事館に通報があり明るみに出た。これを受けた大熊博文領事が女性に電話したが、「まだ詐欺被害にあったことを信じられない様子だった」という。
 大熊領事は九日の総領事館での会見で、「家族を思う心につけ込むところがこの犯罪の卑怯さ」との認識を示し、今後、被害の目立つサンパウロ州各地の地方文協を通じて注意喚起していくと語った。

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