ホーム | 日系社会ニュース | 記者の眼=透明で公正な選考を=逆算の日程管理が不足=百周年事業

記者の眼=透明で公正な選考を=逆算の日程管理が不足=百周年事業

12月20日(土)

 従来、日系団体代表が寄り集まって会議を重ねプロジェクトが構想され、新聞発表し、世論の反応を見て実行されてきた。今回、御三家は無視され、文協役員中心の祭典協会執行部だけでほぼ物事が進められた感が強い。このようなやり方で、プロジェクトに全伯的な承認が得られるのか、疑問が残りそうだ。
 本来、全伯規模のメインプロジェクト案を集めるはずの公募に、特定団体のみ関係するキャンペーン、イベントへの協賛申し込みやら、地域独自の事業も応募された。目的、レベル、地域などが違いすぎて比較検討することは事実上、不可能ではともささやかれている。
 また、事業採算計画抜きの、ただのアイデア的な提案も多い。しかも、ほぼサンパウロにしかメリットのないプランばかり・・・。これでは他州団体会員のやる気もそがれるのでは、と心配する声もきく。「いっぱい集まった」と手放しに喜べる状態なのだろうか。
 これから最も重要な選考に入るわけだが、プロジェクト検討委員会のメンバーは五人しかいないという。
 人数が少ない程、一人一人の発言力も大きくなると同時に、諸分野の専門家を兼ねられる人材でなくてはならない。しかも、人徳があって、その選考・検討にコロニアが一目置く。そんが人材をどれだけ集められるのか。
 来年早々にもそのメンバーは発表されるという。が、役員たちの〃お仲間〃ばかりが選任されるのなら、「なんだ出来レースじゃないか」と陰口を叩かれかねない。「やっぱり〃あのプランか〃」と言われない配慮が重要だ。
 祭典協会理事会の決定を受け「コロニアの総意」という御墨付きの形にしたところで、フタを開けたら誰も協力しない、では格好がつかないし、誰の為の百周年なのか疑われよう。
 メンバー選考や、プロジェクト選考の基準を透明かつ公明正大にし、憂いの残らないやり方を求めたい。
 プロジェクト立案には、当然資金的な裏付けが必要だが、祭典協会の収入は月五十レアルの会費のみ。事務局長一人雇えない現状だ。通常、中心団体の一つになるブラジル日本商工会議所も今までの成り行きから、今回は距離を置く。まず足元を固めずして、なんの立案ができるのか。
 そして、日本の資金を前提にする事業であるなら、日本側スケジュールにも配慮する必要がある。とっくに尻に火はついている。来年三、四月が日本側最終リミットとも言われる。そして首相が来伯する予定といわれる来年十月には完全なプランに磨き上げておかなくてはならないだろう。
 本番は四年先とはいえ、このままの〃マイペース〃でいいのか。逆算の日程で臨まなくてはできるものも出来なくなる。
    (深沢正雪記者)

image_print