ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

 この一年はイラクに振り回され、世界の国々が緊張し、サダムの掲げる宝刀と電子兵器の戦争が繰り広げられた。イラク戦争に反対する独仏露とアメリカの対立もあったけれども、米英軍の凄さをTVで観戦した人々たちは「武器」の持つ意味を改めて知り「戦争とは何か」について考えさせられたのは興味深い▼もう一つは、北朝鮮の核開発がある。ノドンやテポドンのミサイルを所有する金正日・総書記が率いる国家だけに、もし本当に核兵器を持たれると危険度は極めて高い。隣国である日本と韓国としては黙って見ているわけには行かないし、勿論、米国も黙視はありえない。そこで中露をも含めて連携し北朝鮮と「六 国交渉」に入ったが、これも北朝鮮の無謀で好結果は今もない▼日本の政治を見てもイラク特措法と復興支援のために自衛隊を派遣する問題で明け―そして暮れた。この小欄を書く二十六日になりやっと宮川正・一等空佐が率いる空自先遣隊がクウェートとカタールに向けて出発し、本隊は一月下旬に派遣するのも決まった。小泉首相としては、厳しい選択だったに違いないけれども、この勇気のある政治的な決断で日本も国際国家として歩み始めたと見ていいのではないか▼首相は空自派遣部隊の編成式に出席し隊員らに訓示もした。これが戦後では初めてなのだそうだが、ここにも「自衛隊は悪」の風評を見る思いがする。もう「日本だけが良ければ―」では通らない。そんな思いを強くするような長くも短い一年であった。読者の皆さんも佳い正月をお迎え下さい。     (遯)

03/12/27

image_print