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前年比=デカセギ向けビザ30%増=偽変造申請書類目立つ=サンパウロ総領事館対策強化=混血三世の配偶者が非日系の場合は出ない

2月14日(土)

 昨年のデカセギ者向け特定ビザの発給件数が前年比三〇%増しと、数年来の減少傾向から一転、増加に転じたことが十日のサンパウロ総領事館記者会見で明らかにされた。と同時に、偽変造書類を使用してビザ申請するケースが目立ってきており、年々手口が巧妙化しているという。これを重視した総領事館では、ブラジル司法当局や関係機関との連携を強化している。
 日本の金融当局などは「経済に回復の兆しがみられる」と発表しており、特定ビザ増加は、この影響を反映していると推測されている。〇三年の発給総件数は三万一二三七件で、〇二年(二万四九九七件)に比べ、三一%も増加した。
 しかし、このところ一部の派遣業者などから「最近はビザが取り難くなっている。特に混血三世の配偶者が非日系の場合、その非日系にはまずでない」という声を聞くようになった。それに対して査証班の妹川光敏領事は、「そういう場合でも書類さえきちんとしていれば、以前と同様、問題なくでています」と説明する。
 石田仁宏総領事は「コレクトに(正しく)やっている、ということです。最近は、偽造書類を使った査証申請が目立っていますから。全体として増えている訳ですから、決して狭めているとか、厳しくしているということではないです」と説明した。
 偽変造書類を使用してのビザ申請とは、日系人であるかのような出生証明書などを偽造し、ビザ申請に使用するようなケースだ。「何百件と言うわけではありません。以前から水面下ではあったのでしょうが、増加傾向にあり、ここ一、二年とくに目立ってきている。また年々、手口が巧妙になりつつある」と妹川領事は分析する。
 在日ブラジル人の犯罪は、すでに外国人中二位になっており、「これ以上増えれば、日伯関係の阻害要因になりかねない」との心配を外務省関係者らは抱いている。もともと日本に血縁関係がなく、金銭目的のみで非合法に訪日就労する人の場合、失業するなどして生活苦におちいると犯罪に走りやすいとの推測も一部にあり、査証の厳密化につながっているようだ。
 また、依然としてブラジルの失業率は高いが、日本は回復の兆しを見せている。そして、日本のブラジル人コミュニティの成熟化が進み、仕事さえあれば、非日系人でも容易に生活できる環境が整っていることも、この傾向に拍車をかけているようだ。
 訪日就労先のめどがあるからこそビザ申請する、とを考えれば、偽造書類の背景には手引きをする組織があることも容易に想像できそうだ。ブラジルの公式文書に関係することだけに、同館では対応に苦慮しており、ブラジル司法当局や関係機関との連携を強化しているという。

 

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