ホーム | 日系社会ニュース | 連載=下=電気・電子おおむね回復=食品、即席めん10年ぶり減

連載=下=電気・電子おおむね回復=食品、即席めん10年ぶり減

2月24日(火)

 【繊維】〇一年のブラジル人一人当たりの繊維消費量は九・五キロ/年で、アメリカの三十キロ、日本の二十二キロに比べて少ない。温暖な気候と収入の少なさからか。まだまだ買ってもらえる余地はある。
 紡績、織物、染色など綿業界に日系企業は八社ある。国内で原料調達、国内販売が原則。世界の一五%の綿がブラジルで生産されており、昨年は世界からその質が認められたため、三五%も原綿相場の値段が上がってしまった。そのため、原料調達コストが上がり、苦しい状況が続いている。〇三年も原料高、製品安のまま低調に終わった。
 〇四年も小売市場が回復しないと厳しい環境に。業界の整理淘汰が進む、楽観を許さない厳しい状況。
 羊毛も国内市場は低迷し、やはり原料高、製品安の状況。ファスナーをたくさん使うようなファッション性が高いジーンズやジャケットが好調のため、ファスナー業界は非常に好調。
 【自動車】昨年上半期は「どしゃ降り」。下半期は三・四%減で留まった。高金利政策が続き、購買意欲が減退している。一層の金利引下げを期待したい。IPIの処置がまだ不透明。
 二輪業界は約九十五万台生産し、八十五万台を国内販売、十万台を北米などに輸出。〇四年はさらなる成長が見込まれる。
 〇三年の賃金上昇は二〇%弱で、特にサンパウロ地帯は各社ともに頭を悩ませている。
 【運輸】人、モノとも全体的には好調。航空業界ではテロ、戦争、SARS騒ぎなどが影響。上期ひどく、下期は徐々に回復へ向かった。日伯間は安定的需要があるが、その過半数をしめるデカセギが米国ビザ問題で欧州、カナダ、メキシコなどへ経由地を変更。米国次第でこの傾向は長引く可能性がある。
 海運業界は、定期船は船腹不足が見られるほど好調。不定期船は傭船料が昨年比三倍以上に跳ね上がるほど好調。
 【建設】〇三年は投資が落ち込んだため受注も落ち込んだが、工事利益は目標近くを確保。税制対応に人手が増え、対応費用がかかっている。〇四年上半期は緩やかな増を予想、海外からの投資の影響が現れるのは下半期と予想。高級アパートは昨年同様好調、一般アパートは難しい。もう一段の金利引下げがあれば増加するのでは。
 【電気・電子】昨年の売上は前年比一二%増加、全国でおおむね回復している。テレビ、ビデオなど販売数量は増加しているが、価格は一割ダウン。全体としては増となった。携帯端末は、数量は増加しているが、競争が激化して収益面では厳しい。
 〇四年は現状維持から二〇%アップの見通し。コストダウンを図ると共に、営業力強化が必要。中国勢の進出が脅威となっている。
 【食品】食品全体で四%の売上ダウン。即席めんも十年ぶりに減。レストラン業界では「創業以来最悪の年」という声も聞く。年初からCOFINS税アップなどに水を差されている。大手スーパーはCOFINS増税に大義名分を得て、値段を上げ、二月末から三月にかけてインフレ指数に影響がでるのでは。多少のインフレには目をつぶり、景気を優先する政策をとって金利を下げて欲しい。
 報告の後、石田仁宏サンパウロ総領事は「日本政府の招待で、四月のアウキミン州知事の訪日はほぼ決まっている。アモリン外相が三月に日本へという話も期待が強い。ルーラ大統領訪日や小泉首相の訪伯は可能性の段階。実現を期待しつつ努力したい」と感想を述べた。
 坂野企画戦略委員長は「大使館、領事館、他国会議所など共にアクションを起していきたい。今日の議論を検討し、何のアクションが起せるか考えたい」と述べた。  (おわり) 

image_print