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知事現れず=約束した会議所昼食会に

3月16日(火)

 十二日に行われたブラジル日本商工会議所(田中信会頭)の昼食会の来賓スピーチはジェラウド・アウキミン州知事がするはずだったが、前日になって突然の電話キャンセル。五月か六月に訪日する予定というタイミングだっただけに、会議所側でも当然の出席を期待していた。
 田中会頭は、「マルタ(市長)も、ルーラ(大統領就任前)、フェルナンド・エンリッキ(同)も来たのに」と、表情は変えないが言外に無念さをにじませる。参加者の中には「なめられてるよ、カマラ(会議所)は。勝手にキャンセルしたんだから、もう呼んじゃだめだよ。またこっちから呼んだら、もっとなめられるだけ」と憤りをあらわにする人も。
 アウキミン知事は二月十四日にリベルダーデ文化福祉協会(池崎博文会長)主催の東洋街公式訪問をした。日系社会や東洋系移住者に敬意を表し、「日系人の存在は、我が州にとって大変重要なもの。百年を迎えようとする日系社会は、我々と日本をつなぐ大きな絆だ。その絆をもっと貿易に反映させたい」と語ったばかり。
 しかも、知事へ招待状を渡したのは、昨年十二月中旬。日伯貿易に関して最も重要な会議所の招待を袖にするのは、訪日前というタイミングもあり、ドタキャンを聞かされ「バカにされている」と感じる会員企業がいるのも頷ける。
 今回の訪日目的の一つは、日本の国際協力銀行からの州事業への融資調印。水道局の海岸部上下水道整備計画にかかる十億レアルの半額や、サンパウロ市メトロ四号線工事への二億九百万ドルに関する調印などだ。すでに、チエテ川流域環境改善事業にも九百四十九億円の円借款を供与している。つまり、莫大な資金を日本政府は融資している。
 この日、アウキミン知事が会議所の招待をドタキャンしてまで向かったのは、リベルダーデ区の隣、カンブシ区の州立学校オスカル・トンプソン。州立学校の上水道設備の部品を交換して水節約をするプロジェクトの調印式だった。州政府は百二十万レアルを投資して、この計画を推進すると発表した。
 サンパウロ市の水不足は、治安維持と共に、州政府の最も頭の痛い問題。しかも、雨期のうちに貯水池の水位が例年通りのレベルに戻らなったら、十月の統一地方選挙に向け、対策を怠ったと州政府を糾弾する声があがるのは必至。当初四月と言われていた訪日日程が、いまだに定まらないほど、知事を巡る状況は厳しい。
 事情があったとしても、袖にされた会議所事務局では「非常に残念なことです。日伯関係の重要性を十分に認識しているのなら、来ていただきたかった」とコメントした。

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