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 さきに漢検(日本漢字検定試験)のことを紹介した。準二級や二級は、読み方についてだけいえば、普通の音訓読みでは正解でない文字・語句が出題される。読みはなんとかできるとしても、日常、その文字を使って文章をつくったりはしない。二級合格者は高度な漢字能力保持者として尊敬できるが、合格者でなくても、文章綴りには不自由しない▼一番最近の芥川賞受賞作家は、十九歳と二十歳の女性二人だった。十九歳は、インタビューで夏目漱石など読んだことがない、と率直に答えた。小説のなかで書かれている「世界」は、中高年者には(しかもブラジル在住者には)解りにくいものであった。文章は理解できた▼使用している漢字は、漱石が使用したような難解なものでなかったし、つまり、漢検の準二級以上で出題される漢字はまったく使用されていなかった。それでも文章は評価を受けたのである。そうでなくては、受賞はおぼつかない▼さて、日本では重厚に思えた「文壇」という存在が消えてなくなっている。出版業は売れる本を出すのが至上命令。これに応えたのが今回の芥川賞二作。売れに売れているというのだ▼小説も選考委員も編集者も、時代とともに変わる。あの「太陽の季節」を書いた石原慎太郎芥川賞選考委員が、ピアスや入れ墨について「浅薄な表現衝動としか感じられない」と評した。「太陽の季節」も半世紀前、「浅薄」といわれたのだ。読者も変わっていかなければ、ついていけなくなるのだろうか。(神) 

04/04/09

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