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蒼氓の詩人こぞりて虚子祀る=虚子忌大会佳句たくさん=代表選者に瞳さんら8人=リベイロン・ピーレス=「俳句の日」87人の笑顔

4月24日(土)

 リベイロン・ピーレス市(マリア・イネス・ソアリス市長)と同市日伯文化協会(村木義明会長)共催の「第十二回虚子忌俳句大会」が、二十一日、同市文協会館で開かれた。後援はバネスパ銀行とニッケイ新聞。この日を「俳句の日」に指定している同市の市制五十周年を記念する今大会には、総勢八十七人がサンパウロ市やスザノ市、モジ・ダス・クルーゼス市からも集まり、参加者の笑顔に溢れた大会となった。
 「三日月の匂やかにして情あり」と、高浜虚子の句が刻まれた句碑(リ・ピーレス市役所園内)に、ソアリス市長やジャイル・ジネス副市長、エウザ・カルロス市会議員らと共に献花した後、一行は文協会館に会場を移した。会場の一角の祭壇に祀られた虚子像と遺影に多くの参加者が手を合わせた。
 開会式ではソアリス市長、村木義明文協会長、中野光雄ニッケイ新聞常任顧問が挨拶をした。司会は西谷南風氏。代表選者は栢野桂山、星野瞳、池田童夢彭鄭美智、遠藤皖子、宮内暁風、細梅鶴孫、坂本美代子の八氏。賞品寄贈はNHKファスナー・ド・ブラジル、菊花寄贈は西川ルイス氏。また、リ・ピーレス市出身の画家によるマナカの花の絵を市長が寄贈した。
投句された五句を全員が約二時間かけて真剣に吟味し、一人三句を選び終えて昼食休憩に入った。毎年大会に出される昼食やお饅頭などのお菓子は全て文協婦人部の手作りで、参加者たちを喜ばせている。午後からは全員が選んだ句を発表し,成績がつけられた。表彰式では、成績優秀者に賞品が贈られ、今大会の最高齢者である九十六歳の武井まことさんとホウ鄭美智代表選者の母親も特別に表彰され、会場から温かい拍手が贈られた。
 大会参加者は、「ブラジル育ちなので、日本文化、言葉、文字のいい勉強になる」「仲間がたくさんできるし、写真に写らない美しさを表現できる」と俳句の楽しみを語る。皆から「瞳先生」と呼んで慕われる星野瞳代表選者は「句会の運びも良く、佳句もたくさん出た」と、大会の成功を喜ぶと共に参加者全員に柚子味噌をプレゼントした。
 午後四時大会は無事に終了し,中野秀敏氏の「来年もまた会いましょう」との挨拶に見送られて参加者は帰途についた。
 以下は、代表選者の特選句。
栢野桂山選
携帯とつながる安否秋出水 西谷律子
星野瞳選
三日月の句碑に名月上りたる 加藤淑子
池田童夢選
渦巻いて大河さながら秋出水 畠山てるえ
彭鄭美智選
白椿凛と供えて虚子祀る 西谷律子
遠藤皖子選
虚子祀る吾が生命のある限り 尾畑春子
宮内暁風選
蒼氓の詩人こぞりて虚子祀る 佐々木君代
細梅鶴孫選
遠くより馳せ来る友を待つ虚子忌 溝口かおる
坂本美代子選
メルヘンの如牧照らし今日の月 野村いさを

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