ホーム | 日系社会ニュース | jicaからアンブレラ調査団 教師の養成,研修を議論 研修員の選考基準厳しく 制度の成果あげたい

jicaからアンブレラ調査団 教師の養成,研修を議論 研修員の選考基準厳しく 制度の成果あげたい

6月12日(土)

 国際協力機構(JICA)派遣の「二〇〇四年度日本語教師研修実施協議調査団」が七日、来伯、ブラジル日本語センター(谷広海理事長)などで教師の養成・研修事業について、日伯両国の役割などを議論している。JICAは日本研修員制度の成果を上げるため、「基礎(1)」、「応用」など日本語に関わる既存の四コースを見直し中。ブラジル側との共通認識に立った上で、カリキュラムを作成する考えだ。中南米の日本語教育という傘(アンブレラ)の中に、ボランティアの派遣や各種研修事業を入れ、相乗効果を狙う。
 
 JICAは昨年十月、独立行政法人化。成果主義がとられることになった。この結果、「助成・補助」から「技術協力」に援助の形態が移行しつつある。
 形式的には、海外日系人協会がJICAに研修実施などのプロジェクト(計画)を提案。結果が残せると判断されれば、技術協力という形で実行に移される。中元司郎氏(海外日系人協会嘱託)は「ブラジル日本語センターは日系人協会のパートナー」と位置づけた。
 「継承日本語教育センター」が今年六月一日に、同協会内に設立され、既にJICAから委託を受けて本邦研修を実施している。「継承語」という言葉の定義について、学会などに諸説がある。日系年少者を学習者に想定していることを明確に打ち出すために、「論議を呼ぶことを承知で敢えて命名した」(中元氏)。
 「日本語教育の問題点について、共通認識を持つことが最も重要です」。小池芳一JICA横浜業務第2チーム主査は、来伯の目的を強調する。
 協議の中で、教師の社会的な地位や給与が低くて、後継者が育たないというのが、改めて、浮き彫りにされた。
 ブラジル日本語センターが一定の授業を受講した人を教師として認可、同センターに登録するように、調査団は促した。「授業の計画」、「日本の文化」、「移住と日本語教育」など二十一項目からなるカリキュラムのモデル版を提示。小池主査は「教師の養成は基本的に、現地でやってほしい」と理解を求めた。
 さらに、同主査は「認定をきちんとした形でやることが出来れば、ブラジル社会に認められ、教師の地位向上につながる」と見解を示した。認定制度確立について、日本語センターの関係者は意欲的に取り組む姿勢を見せ、今後、理事会で諮る考えだ。
 JICAは、ブラジルの問題解決を支援するというスタンスをとり、研修員送り出し側の要望に応じて、内容に手を加えていく方針だ。効率性の観点から、研修員の選考基準は厳しくなる見通し。
 

image_print