6月12日(土)
朝日新聞サンパウロ支局とBUMBA編集部は、「インディオのお話と踊りの会」を、八日午後一時半から国際交流基金多目的ホールで行なった。マット・グロッソ州の先住民部族シャバンテ族のシリジヴェさんと同氏が主宰するIDETI(インディオ文化保存・理解・普及に努めるNGO)の運営担当アンジェラ・パピアニさんが招かれ、約三十五人の参加者が集まった。協力は国際交流基金、TRENDY観光。
約五百年前のブラジルには千部族五百万人ものインディオが存在したが、白人の入植により現在はわずかに二百二十部族七十五万人が残るのみ。自らもインディオとの結婚経験があり、二人の娘を持つパピアニさんは「ポルトガル語とは異なる百七十の言語、つまり百七十の文化が存在しているのです」と説明。未だに白人との接触が無い民族も約五十部族存在しているという。
パピアニさんの話を受けて講演を始めたシリジヴェさんは、上半身裸で部族の首飾りを身につけ、額と腹に真赤な染料を塗った伝統の出立ちで登場。初めにシャヴァンテ族の言葉で「今日私は百七十分の一の部族の代表として来ました」と挨拶し、聞き慣れない言葉に参加者も通訳も首を傾げた。
シャヴァンテ族の家の形態や伝統、生活の仕方についてスライドやビデオを用いて説明があり、男の子は十から十二歳になると伝統を教わるために家を離れて五年間共同生活すると聞いた参加者からは「信じられない」などの声も上がっていた。
シリジヴェさんは「この国の多様性をブラジル自身も発見していない。これだけ豊かなものを持っているのだと知ってほしい。私はその役割の一端を担っている」と力を込めた。また、「他の種族に敬意を表し、他の種族との違いから学ぶことが大切」と異文化との関係の在り方を語った。
最後は全員で輪になって、ビデオから流れるシャヴァンテ族の掛け声と音楽に合わせて甲高い声を上げながら踊りを踊った。参加者は「あれを一晩中続けるなんて驚き。初めてインディオを見たが、多様な世界についてもっともっと知りたい」と感想を話した。
今回集まった寄付金はIDETIへ贈られる。