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「夢、実現中です」=日本財団・日系奨学生語る

6月26日(土)

  日本の大学・大学院での研究を望んでいる中南米諸国の日系学生を対象とした奨学金制度「夢の実現プロジェクト」を主催する日本財団では七月三十一日まで、制度に関心のある日系人を広く募集している。
 資格は十八歳から三十五歳までで、定員は五人。書類・面接審査後、九月中旬には確定する見通し。
 選考に当って、最も重視される点がある。それは日本で先進の知識・技術を習得し、帰国後地域に貢献したいという意思の強さだ。
 この制度を利用しいま、「第二の祖国」で研究に励む日系学生たちはどうして留学を思い立ち、何を夢見て学んでいるのだろう。
 ハマグチ・パトリシア・ユカさんの専門は水産学。将来は母国ブラジルで大学教員になる夢を抱く。「魚をあまり食べない習慣からか、ブラジルの水産研究がまだ途上にある。だから日本で学びたかった」。
 ハマグチさんはブラジルの大学で食品化学を専攻。在学中、日本の文部省の制度で日本に留学している。国際学友会日本語学校で、日本語を勉強。東京工業専門学校物質工学科三年に編入し卒業した。その後、東京水産大学水産学部へ。同大学院で食料生産学修士課程を終え、いま博士課程の二年目。
 研究内容は「魚肉水溶性タンパク質から、食べられるフィルムを作る勉強です」とハマグチさんは語る。この四月からは海外日系人協会を通して、日本財団から奨学金を受けている。「おかげさまで有意義な大学院生活を過ごしています」。
 一方、パラグアイからリハビリテーション医療の研修にきている三浦浅美アウローラさん。高知県のリハビリテーション・セラピスト育成校で学んで三年になる。三年前の高校卒業時、リハビリ医療で遅れを取るパラグアイのため、日本の最新医療を学び、母国の役に立ちたい一心で留学を決意した。
 「日系スカラーシップの募集を偶然知り、それまで受けていた奨学金から切り替えた。より安心で充実した環境で勉強に集中できるようになりました」
 この制度は夢の実現に向かって走り出している日系学生の大きな力となっている。三浦さんも「多くの人に制度について知ってもらい、活用してほしい」と呼びかける。
【応募について】
 応募書類として▽留学申請書▽履歴書▽身上書▽研修計画案▽健康診断書▽日系団体推薦書▽誓約書▽内諾書▽卒業(在学)証明書▽アンケート▽作文(題「日本留学で実現したい私の夢」を日本語一千字又は現地語A4用紙三枚以内)を準備する。留学期間は最長で五年。
 書類送付先は財団法人・海外日系人協会 神奈川県横浜市中区新港2―3―1、JICA横浜二階、郵便番号231―0001。電話045・663・3258。FAX045・211・1781。E mail saitran@jadesas.or.jp

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