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日本の習慣、子どもに好影響 日語学ぶ母親が作文

7月14日(水)

  新宿日本語学校が発行する月刊誌「月刊SNG」の百八十八号(二〇〇四年六月号)に、韓国、香港などの学生と共に、二人の日系ブラジル人学生の作文が掲載されている。武田アンドレアさんの「性格は変わる」と寺尾タミラさんの「日系人の願い」だ。
 武田さんは、環境や教育によって人の性格は変わると考えており、子どもにとって家族の教育が一番必要だと訴えている。また寺尾さんは、友人の父の死を通して、日系人が日本社会に溶け込むことができないのは日本の社会にも問題があるのでは、と問い掛け、日系人のために自分の力を使いたいと結んでいる。
 以下に二人の作文を一部抜粋して掲載する。
 ◆「性格は変わる」(武田アンドレア)
 私は環境や教育によって性格は変わるという意見に賛成です。
 三年前に日本の生活が始まった時、自分の息子は十歳でした。今、日本の文化や習慣などが子供の性格によい影響を与えていると気がつきました。
 私は自分の与える教育が大切だと思います。ですから、人の性格は環境によって、また親の教育によって変わるはずだと思います。 家族はあきらめないで、家族で力を合わせて子供達がいい性格になるように努力しましょう。
 ◆「日系人の願い」(寺尾タミラ)
 ブラジルでは日系人同士が助け合うのは当たり前のことですし、日本でも日本人は親戚、近所の者同士が普通に楽しくコミュニケーションをとりながら助け合って暮らしているのだと思いました。
 ところが先日ブラジルから悲しい便りが届きました。私の親友のお父様が日本で亡くなりました。
 私達日系人は主に南米で育ち、人とのコミュニケーションが大好きな人間です。そして日本人と血肉を分けた関係です。日本の人達と楽しく生活したくて日本へ来ています。それなのに日本の社会に溶け込めない、受け入れられないとなると問題は私達以外に、日本の社会にもあるのではないでしょうか。これではまるで私達日系人の日本相手の片思い状態ではありませんか。
 私は現在弱い立場である日系人が、将来に夢を持ち、毎日安心して楽しく生活できるように自分の力を使いたいと思っております。もちろんそのために今勉強している日本語がもっと上手になるように努めなければなりません。まずはそれが私にとっての今一番大きな課題です。

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