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《ブラジル》学校の再開で慎重論=72%が「ワクチン開発後再開」=アマゾナスでは教員集団感染

学校の授業風景(Sumaia Vilela/Agencia Brasil)

 コロナ禍後の学校再開に向けての議論が国内で活発化しつつある。全国での感染拡大が減速化してきている中、学校再開(対面授業再開)を検討している州や市は多いが、学校再開後に感染者が増加した例もあり、課題を残している。5~8日付現地紙が報じている。
 ブラジルでのコロナウイルスの感染状況を見ると、1~7日の全国で死者を1日あたりに換算すると784人。14日前に算定した1日あたりの平均死者数と比較して17%減少している。7日現在で見ると、1日あたりの平均死者数は17州で減少を記録しており、8州は「安定」している。「死者増加」との評価されたのはアマゾナス州とロライマ州の2州だけだった。
 また、全国的に、人口10万人以上の都市部では70%で感染情況が「安定」に入ってきている。
 こうしたことから、本来なら8月にはじまるはずの学校を、コロナによる閉鎖状況から復活させたいとする動きも、全国的に起こっている。サンパウロ州を例に取ると、ジョアン・ドリア知事は10月7日を目標に授業の再開を目指している。同州でも、授業再開の目安となる外出自粛規制緩和の「レベル3(5段階中)」に達していないのは、州内で2地区を残すのみというところまで状況は改善している。
 だが、そうした状況になっても、国民の間では学校の再開に疑問を呈す声が少なくない。
 7日に、世論調査会社イボッピが発表したデータによると、国民の72%が「ワクチンが開発されるまでは、学校を再開すべきではない」と考えている。しかも、72%の内の約4分の3にあたる54%の人は「全面的にそう思う」と強く答えている。

 別の大手調査会社ダッタフォーリャが8月に行った調査でも、79%の人たちが「学校を再開すると感染状況が悪化する」と考えているという結果が出ている。
 そうした国民の不安を裏付けるような事態も既に起こっている。エスタード紙2日付によると、全国に先駆け8月10日に学校を再開したアマゾナス州では、342人の教員がコロナに感染したという。中には、マナウス市の州立校ジョゼ・ベルナルジーノ・リンドーゾ校のように28人の集団感染が起きた学校があるほか、10人の集団感染を記録した学校も2校ある。
 他の州よりも感染者、死者の減少が早かったアマゾナス州での結果は、学校の再開を慎重にさせる要因となっている。
 サンパウロ州では8日から、補習授業の開始を認めているが、それに応じた市は全645市中の約20%の128に過ぎない。
 学校再開までの道のりは容易ではない。だが、教育現場では、コンピューターなどを使った遠隔授業だけでは、教育格差が広がるなどの大きなダメージが出るとの研究も発表されている。対面授業が行われていないことの影響は初等教育段階ほど大きいという。
 また、予防接種ワクチンの開発も、現状ですぐに目処が立つ問題ではないため、ワクチン開発や感染拡大終息を待つべきだと言って、手をこまねいていられる問題ではなくなっている。

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