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コラム 樹海

 昨年一年間の日本の自殺者は三万四千四百二十七人で過去最高を記録したそうだ。日本人は自殺が好きというわけではないのだろうが、兎に角―自裁する人が多い。最近は若い十代の人たち数人が一緒になって死への道を選んだりとかなりあいまいな動機で生を断ち切るきる向きがいっぱいなのが気にかかる。高校生の自殺者は昨年に比べ三〇%近くも増えて二百二十五人にもなっている▼政府は景気は少しずつよくなっていると発表するけれども、負債や生活苦などの「経済・生活」の問題から自殺した人が九千人近い。しかも、四〇代―五〇代では自殺原因のトップになっている。不景気の嵐はまだまだ続いていると見た方がいいのかもしれない。どちらにしろ「倒産」や「事業不振」による「負債」を理由とした自殺者が五千人を突破しているのは重く見たい▼もう一つ注意したいのは、小中学生の自殺者が昨年より五七%も増え九三人にもなっている。小中学生らは死を極めて単純に考えるけれども、「生きる」の大切さを肝に銘じるような教育が必要なのは言うを待たない。日本の小中学校には「いじめ」とかがあるらしく、これが原因だとすれば教育現場の改革にも取り組むべきだ▼三万五千人近い自殺者の訴えは重い。経済的な敗者の実態を描いているし、児童の自殺は社会的な問題として取り上げる性格のものであろう。首相は「特効薬がなくて困っている」と語っているが、リストラや不況は政策に負うところが多いの事実にももっと目を向けて欲しい。   (遯)

04/07/27

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