ホーム | 連載 | 2004年 | 30年ぶりの成長軌道へ=会議所懇談会 | 30年ぶりの成長軌道へ=会議所懇談会=オレンジは輸出新記録(下)

30年ぶりの成長軌道へ=会議所懇談会=オレンジは輸出新記録(下)

8月11日(水)

 【自動車】は下期の販売台数は百三万八千台で、メーカーが長期融資と週末キャンペーンを行い国内販売は一二%増加。アルゼンチン経済回復により、外国販売は四%の増加で好調。下期は材料費の値上がりが予想され、収益面では圧迫されるが、内需拡大と輸出も伸び、増産が期待でき好調の予想。
 二輪車の生産は前年下期から鈍化していたが、三月から日本で生産していた北米向けをブラジルで生産しだしたので、輸出は五三%増加。生産は三%増しで生産台数では新記録と好調。しかし、下期は生産工場が集中しているマナウスのPISやCOFINS税の恩典撤廃で三〇%の増税が予想され、価格転化しなければならないので、相当な覚悟が必要。先行きは販売減が予想され雨。
 【化学】上期は化粧品・フィルム、農薬や接着剤などが二桁の増益増収で好調。下期は原油価格の上昇が懸念材料だが、内需拡大で全般的には引き続き好調。
 【機械金属】の上期は工具・ネジは右肩上がりで毎月新記録。製鉄・鋼材は中国への輸出で二〇%の伸びで好調。農業機械はアグロ・ビジネスの輸出が好調で二一%の増加。ネジは自動車・家電が好調で一三・七%増し。電力・エネルギーは投資が止まっており、横ばい。下期は製鉄、農業機械やネジが好調持続、工具は二五%、ネジは一七%の伸びで、電力・エネルギー以外は好調が予想される。
 【食品】の上期は砂糖六百三十万トンで五三%増し、オレンジは百三十五万トンで輸出新記録、コーヒーは一千百七十万トンで前年と生産高は同じだが、国際相場が一六%上がった。乳製品は一三%減。即席メンは横ばい。下期は輸出も好調が予想されているが、コンテナ船不足が懸念されている。
 【電気電子】上期はカラーテレビ生産が一六〇%、オーディオ一一五%、DVD二一五%、レンジ一六〇%、そしてカーステレオが一一七%増しと数字の上では絶好調だが、前年が悪すぎたので好調。下期は八月にマナウスの税制恩典撤廃が現実となれば、先行き不安。
 【建設不動産】上期は設備投資が少ない上に、四月に資材の値上げがあり、低調だった。下期は十月の地方統一選挙前で、公共事業の発注が止まっている。サンパウロ市内の高級アパート建設では期待できるが、先行きの見通しはたたない。しかし建設業界の景気回復は、一般よりも一年か二年遅れのサイクルで回復するので、来年は期待できる。
 【運輸サービス】航空業界上期はブラジル人にたいする米国経由の日本行に、米国ビザ獲得が義務づけられたために大幅な減便となった。民間航空局(DAC)の運賃統制により、割引が規制されて、国内旅行に客が流れており、低調だった。下期は、ルーラ大統領の五月訪中後の両国間の人の往来に期待しているが、大きくは伸びない。貨物業界は輸出が引き続いて伸びており、好調を維持している。下期も引き続いて輸出好調が予想され、特に中国中心に荷動きが増え、好調を維持する。
 最後の総評で、特別ゲストの田仁宏サンパウロ総領事は「各分野からの展望を聞き、マクロ経済的には持続的な経済成長が望める。ブラジル側から今年アモリン外相、パロッチ蔵相やアウキミンサンパウロ州知事などの要人の訪日が相次いだが、日本からはなかった。今月の衆議院一行二十人の来伯などが相次いでおり、ブラジルにたいする関心が高まるのではないか。その面でお手伝いしたい」と述べた。
 また、在ブラジル日本国大使館の笹本純雄一等書記官は「今日の生の声は今後のブラジル経済の成長が確認できた。マナウスには多くの日系企業があり、八月の優遇税制の撤退などでは大きな影響を受けるので、はやめに大使館に相談してほしい」と説明した。

 

image_print