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観光誘致=水の泡?=東京で熱心PR後=リオ海岸連続強盗

10月12日(火)

 最近アジア諸国からの観光客誘致に力を入れているエンブラトゥール(ブラジル観光公社)は九月二十四日から二十六日まで、東京で開催されたアジア最大の国際観光旅行イベント「JATA世界旅行博2004」に参加し、熱心なPR活動を展開した。しかしその後二十八日、リオ市の海岸で海水浴客狙いの集団強盗事件が発生、また最近サンパウロ市で起きた浮浪者連続殺人事件が世界的に報じられ、関係者は「偶然とはいえ、このタイミングに治安の悪さを続けて喧伝されたのは痛い」と頭を抱えている。十一日付インターナショナル・プレス紙が報じている。
 リオ市レブロン海岸で先月二十八日、立て続けに発生した海水浴客ばかりを狙った五件の強盗事件。ビデオカメラを持ち合わせていた観光客がその模様を撮影し、メディアを通じて全世界に放映されブラジルの治安の悪さが改めて印象付けられた。その映像にはパトロール中の警官の姿もあったが手をこまねき傍観していたため、マイナスイメージに拍車をかけた。
 さらに、英国の有力誌「ザ・エコノミスト」は、サンパウロ市で最近あった浮浪者連続殺人事件で複数の市警が事件に絡んでいるとしたうえで、「それに対しサンパウロ市民は少しも驚いていない」と書き、治安維持にあたる警察の信頼性が地に落ちているとも批判した。
 同誌はさらに、「ブラジルでは年間五万件の殺人事件が発生するが、わずかに八%しか解明されていない」と追い討ちをかけ、先進諸国との治安の違いを強調、訪問予定者に注意を呼びかけた。地球の反対側まで出かけ、観光誘致に熱心に成っていた同公社関係者は冷水を浴びせられた格好だ。
 

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