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文協会館売却 郊外移転へ=時代の波、「模範」にも=会員離れ赤字毎月1万レ=ロンドリーナ

11月18日(木)

 ロンドリーナ文化体育協会(ACEL、鈴木勇会長)は協会財政再建策として〇三年十一月に臨時総会で決定されていた、ロンドリーナ市中心に一九三三年から所有していた敷地面積二万平方メートルの会館を八日、プロテスタント系の教会に三百万レアルで売却した。同協会では郊外カンペストレ地区にある十五アルケールの所有地に新会館建設を検討している。八五年には二千五百家族の会員を誇ったが、デカセギや、若い世代の日系団体離れから、会費を納めている会員が二百五十人まで減少。複数のプール、テニスコート整備費、電気代や水道代など施設維持費で毎月一万レアルの赤字が続いていた。

 七十年以上続く歴史の灯火を守ろうと、〇〇年から財政再建策として▼従業員の削減▼プール経営の外注化▼野球部やテニス部を独立採算制に移行――など努力を重ねてきた。しかし、銀行利子がある限り、借金返済はできない財政体質になっていた。地方の文協の「模範」ともされた同協会の売却には、高齢者会員から反対の声も多かった。
 平沢正人評議会副議長(84)は「この会館が我々の手元から離れていくのは、本当に寂しい。できるものなら継続してほしかった。だがカンペストレへは巡回バスで簡単に行ける。また十五アルケールの面積があるので、大きなイベントを開催できる点は、この会館より優れている。今後は若い世代を中心に新生ACELを盛り上げてほしい」と述べた。
 ロンドリーナ・中央ルビアッセ日本人会副会長で、パラナ州日系社会の〃御意見番〃、沼田信一さん(86)は「会館建設のため、泊り込みで土方仕事を手伝いに来た思い出が詰まっている所。売却は情けないが仕方がない。借金を清算して若い世代に、今後の協会の運営や経営を任せてほしい」と話している。

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