ホーム | 日系社会ニュース | 人数枠なし、日系に限らず訪日就労で技術取得+貯金=「外国人研修・技能実習制度」知って=国際研修協力機構=関係2氏が来伯会見=デカセギ高齢化・先細り見越し

人数枠なし、日系に限らず訪日就労で技術取得+貯金=「外国人研修・技能実習制度」知って=国際研修協力機構=関係2氏が来伯会見=デカセギ高齢化・先細り見越し

1月14日(金)

 【既報関連】デカセギの高齢化、在日日系労働者の先細りを見越して、新しい動きが始まった。現在の入管法では日系三世までしか特別定住ビザが発給されないので、日本のブラジル人コミュニィはいずれ先細りするとの見方から、日本の(財)国際研修協力機構の二人が「外国人研修・技能実習制度」の説明に訪れた。十二日にはブラリジアの労働省を訪問し、大統領特別顧問のミルトン・フレイタス氏と懇談。十三日にはサンパウロ市で関係日系団体代表らと意見交換をした。

 現行入管法では日系三世までしか就労可能な特定ビザが取得できず、四世以降の訪日就労は、非日系の外国人と同じ厳しい扱いになる。いわゆる「四世問題」だ。
 今年五月に予定されているルーラ大統領訪日では、「在日ブラジル人コミュニティは将来、高齢化・先細りになる」というような先行きの良くない話題が出ることが予想されるため、先手を打って「このような制度があることをお知らせに来た」ようだ。
 本来この制度は外国人一般が対象。日本で研修実習をして、技能を修得してもらうことを主眼に創設されたもので、蓄財目的の日系デカセギを対象にしたものではない。
 この制度の給与は安いが各種手当てが付くため、「三年間で百万円から三百万円を貯金することも可能」と説明する。受け入れ企業により待遇は違うが、研修しつつもデカセギに近い意味合いを達成することも不可能ではないようだ。
 この制度であれば、従来のように日系人に制限されないので、事実上無制限な訪日希望者が現れても不思議はない。人数枠はなく、数万人単位で訪日する可能性すらある。
 十二日に大統領特別顧問に説明した時は、「検討する余地はある」または「検討に値する仕組みとして整理されている」との感触を得たという。ただし、ブラジル政府としては、国として推薦して国外に送り出したことはないそう。
 この制度の締結国は十四カ国あるが、みな後進国であり、同機構の立川雅章国際第二課長は「ブラジルはすでに先進国だから、難しいのかな」という印象を受けたという。
 基本的には政府間の契約が必要だが、場合によっては市町村など地方自治体の推薦状があれば、研修ビザが発給されることもある。
 ただし、ビザ発給にあたって就業中であることが条件。つまり、失業中の人には研修ビザは出ない。日本での研修・実習を終えた後、その経験を活かせる職場が母国にあることが前提だ。
 十三日に聖総領事館に集まったブラジル日本文化協会、ブラジル日本都道府県人会連合会、国外就労者情報援護センター、JICA研修生OB会、ASEBEX代表者に制度の説明も行われたが、「研修後に元の職場に戻るのが前提では難しいのでは」という反応が多かったという。
 立川同課長によれば、まだ、ブラジル政府との具体的な交渉スケジュールはない状態だという。
 ■国際研修協力機構■
 外国人研修・技能実習制度を運用するために、法務、外務、厚生労働、経済産業、国土交通の五省共管により九一年に創立された団体。これは外国人一般に向けた制度で、研修(一年間)の三分の一は座学、三分の二は実務研修。研修期間を終え、技能検定試験に合格した人は、技能実習(二年間)に移行し、雇用関係下で、労働者としての実習となる。制度の詳細は同機構サイト(www.jitco.or.jp)まで。

「四世問題」解決されるか

■記者の目■
 外国人研修・技能実習制度で「四世問題」が解決されるのだろうか?―― 三世の親に幼少時に日本に連れて行かれた四世、あちらで生まれ育った四世の多くは日本の公立学校へ通い、ポ語が不自由でありながら、二十歳を過ぎて成人すると、他の外国人と同じ扱いになる。
 つまり、特殊技能を磨いて労働ビザを取得できないなら、言葉の分からないブラジルへ帰るか、〃養国〃日本で不法就労するか、という厳しい選択肢だ。成人する前にいったん帰伯すると、以前と同じ滞在ビザさえ貰えないという。
 しかし、現在は三世までに制限されている日系人への特権的な特定査証発給を、「四世、五世まで広げるのは難しい、とのコンセンサスが(日本の省庁には)ある」という。
 大統領訪日を機に、議論を呼びそうな入管法改正よりも、すでにあるこの制度を適用・拡大した方が、より実践的かつ迅速に対応できるとの判断のようだ。
 今回の外国人研修・技能実習制度は、ブラジル在住四世やブラジル人に恩恵がある。ただし、最も恩恵を受けるものの一つは、常に若年労働者を必要とする日本の産業界かもしれない。
 在伯四世より、日本語しか知らない在日四世の方がよほど日本の文化慣習に親しんでいることは間違いない。にも関わらず、もっとも割を食うのが在日四世では、あまりにも理不尽ではないか。
 「四世問題」は日伯双方に、別種の課題を抱えている。本来なら、日伯の重要な架け橋、大事な外交資源となるであろう彼らのために、双方で声を上げるのは難しいのだろうか。(深)

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