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靖国講、存続の危機=講元・松原さん死去で=活動資金力ある後継不在=ただよう解散ムード

2月16日(水)

 五十年の歴史が、トップの死で存続の危機に──。サンパウロ靖国講平和友の会が、講元の松原寿一さんが今月六日に亡くなったことで動揺している。これまでブラジルでは、講元が支出のすべてを賄うのが慣例になっていたが、資金力のある後継者が現われてこないため。内部関係者には、解散ムードも漂う。会を継続させるため、会費制の導入も考えられている。協力者が集まるかどうかは、未知数な状況だという。
 サンパウロ靖国講は、ブラジルでも戦没者を供養しようと、五四年に松原さんの父ウノスケ氏や渋谷信吾氏らによって、創立された。毎年十月に開いている慰霊祭には、最盛期に千人を超える出席者があった。
 会場手配、供え物、会合などにかかる費用は、一万レアルほどだ。最近は参列者の減少と並行して玉串の集金額も右肩下がりで、毎年約五千レアルの赤字になっている。
 創立当初から出費は講元の持ち出しで、松原さんが赤字をかぶってきた。特に、昨年は創立五十周年の記念大会になったため、二万七千レアルを支出。玉串や祝い金などの収入は一万七千レアルで、一万レアルの赤字を出した。
 同氏は宝石商で、支出に耐えるだけの資産家だった。残された関係者の中に、代役を務められる人物はいない。総務の松本善方さん(88)は「講元は手ぶらでは、出来ない仕事なんです」と頭を痛めている。
 日本の靖国神社から、松原氏が死去しても、続けてやってほしいと、関係者は激励を受けた。会を継続させるため、会費制にして入会者から月々、いくらかでも金銭を徴収しようという案が持ち上がっている。
 ただ慰霊祭当日の出席者百人~百二十人のうち、玉串料を納めてくれる人は百人足らず。会費制を導入にしたら、これまで通りの協力が取り付けられるか分からないという不安がある。
 松本さんは「松原さんという人だから、大型の寄付をしてくれる人がいたんですけど…」と表情を曇らせる。
 長年会に携わってきた白井敏雄さんも「松原さんだからこそ、出来た仕事です」と言い切る。
 資金面だけでもカバーしてくれる個人や団体が現われてくれてほしいと、関係者は願っているようだ。松原氏の四十九日の法要までに会合を持ち、解散か否かの判断を下す。

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