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気功治療院を兼ね=画廊再開=何さん「憩いの場に」

3月24日(木)

 気功の使い手として知られる何礼増(ホウ・リー・ツェン)さんがこのたび、パウリスタ画廊(パウリスタ通り1159、ロージャ3)の営業を四年ぶりに再開した。日本統治下の台湾生まれ。達者な日本語と気さくな人柄から日系社会でも、著名人だ。
 今年で傘寿。高齢を理由に画廊を休業していたが、「四百点近くある、貴重な絵画を眠らせておくのは惜しいと思った。気功治療院を兼ねて、もうひと頑張りしたい。みなさんの憩いの場になれば」と張り切る。
 同画廊は八〇年代にオープン。バルブ経済に沸いた日本からの進出企業関係者らが顧客だった。「一~二万ドルの作品が飛ぶように売れた」時代だ。売れっ子の画家は、上海からきたグァンさん。ブラジルの風景をダイナミックに描いた作品が評判を呼んだ。
 そのグァンさんがある日、腕が上がらないと不調を訴えてきた。何さんが患部に触れると、回復の兆しが現われた。居合わせた鍼灸医の弟に「気功を使う力があるね」と言われた。
 半信半疑だったが、試せば結果が出る。いつしか、「これも使命だ」と思うようになった。小児リュウマチや中心性網膜脈絡炎といった難病を快方に向かわせたことも。気功治療の達人との噂は広まり、日本からも患者が訪れた。
 芸術と気功。「憩いの場」の二本柱ができた。千客万来。手作りの料理を振舞ったり、駐在員や領事らとカラオケを楽しんだり、酒を飲んで討論したり。当時の思い出は尽きない。
 客家の出身だ。所有する家系図には何家二千三百年の歴史が刻まれている。「先祖に、やはり自分と同じような力を持った医者がいたのを確認した。気功は家系のDNAですな」。トレードマークの作務衣姿で莞爾と笑う。夫人の文子さん(70)は東京都出身。

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