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パラナ州でコチア青年の貢献を見る=サンパウロ組、仲間たちと交流=連載(6)=州都でも頭角あらわす=中場さんの日本食堂盛業中

4月15日(金)

 パラナの州都クリチーバは、環境保護を視野に入れた都市として世界的に有名だ。昨年の選挙まで市長を勤めたカシオ谷口(日系二世)と、環境局長として同市長を支えた中村矗(兵庫県)の功績だと言われている。
 人口は二百万人に近い。この町の中心部の一角にRestaurante NAKABAがある。コチア青年の中場眞(鹿児島県、第二次 四回)が経営する州都における日本食堂の老舗のひとつだ。当初は、郊外で生花店を営みながら、片手間で鉄板焼を手掛けたところ、意外と好評だったため、思いきって街の中心部に出てきた。二十数年前のことだ。十数年前までは寿司や刺身が地元の人々に好まれなかった、という。
 サンパウロ市との違いだろう、と中場。徐々に顧客の嗜好が鉄板焼から寿司や刺身に移行し、今では伝統的な日本食が非日系顧客にも好まれている。娘婿(二世)が料理長だ。値段が適正で美味しい、と繁盛している。週六日、昼食と夕食を提供しており、五十名の従業員が昼夜交替で働いている。
 同じ敷地内ながら、別棟にカラオケ施設がある。四月二日の夜、このRestaurante NAKABAのカラオケ施設がサンパウロからのコチア青年一行とクリチーバ地区の仲間との懇親会会場となり、約三十五名が出席した。
 バルサ・ノーヴァ町で観光農園を経営している小田正人(岡山県)やアラウカリアで養鶏場を営む内野四郎(長崎県)も夫人同伴で出席した。中国種のヤーリ(鴨梨)を栽培している植木英夫(栃木県、二次十三回)は「私の梨は最高級品です。サンパウロには出荷していません。クリチーバで十分に需要があるからです」と自信を示していた。梨の歯応えと味の良さに自信のほどを伺うことができた。
 この懇親会で第一次一回移住組三名が顔を合わせた。山田貢(鹿児島県)と伊沢馗夫(徳島県)と本多睦夫(大分県)だ。山田曰く「伊沢、お前は俺と一緒にサント・アマーロのエンブーラに入ったが、昔は迷惑ばかりかけおって…。今は石材店をしっかりやっているというが本当か?」と冗談を交えながら、四十五年ぶりの再会を涙ぐみながら喜んでいた。
 夫妻で交流団に初めて参加したサンパウロ州イビウーナ地区に住む草島精二(富山県、二次五回)は、この旅行で会った仲間たちの熱気を受けて少々「羨ましい」と感じたようだ。今の場所に入植してしばらく後、新天地を求めてサンタ・カタリーナ州やミナス州までも足を延ばしてみたが、妻(嘉代子さん)が健康体でなかったため、移転を断念した。パラナ州の仲間たちをちょっぴり羨ましく思うものの、今は〃恋女房〃と歩んできた人生に悔いはない、という。
 去る一月下旬、ブラジル農協婦人部連合会がパラグァイに派遣した親善交流団(本紙・二月二日と三日報道)に嘉代子さんが参加した時も妻の健康を気遣って同行した。夫婦善哉の鏡のような人生に悔いは無縁だろう。
 コチア青年移住五十周年記念準備委員長の山下治は、「名市長の評判を得たカシオ・タニグチ氏はわが福井県の二世です。福井県出身者の一人として、私も誇りに思います。その市で仲間の皆さんとこのように懇談することができて本当に嬉しい」と述べ、「これを機会に九月の五十周年記念行事に、今晩参加できなかった仲間も誘って大勢でぜひ参加して欲しい」と呼びかけていた。
 前夜のカストロでの懇親会と同様、参加者の反応は上々だったようだ。つづく (文中、一部敬称略)

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