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百周年=大統領訪日前に白紙=レオポルジーナ案中止を総会で承認=ブラジリアでも憂慮

5月4日(水)

 「大統領訪日を目前にして、百周年に関する提案がまったくない状態で、ブラジリアではみなが大変心配している」。四月三十日午前九時半から文協内で行われたブラジル日本移民百周年祭典協会(上原幸啓理事長)の定期総会で、農務大臣補佐官の山中イジドロ氏は混乱した現状に釘を刺した。上原理事長が先週公言していた通り、ヴィラ・レオポルジーナ案を中止する提案が正式に承認されたが、同理事長への痛烈な批判が相次いだ。
 「レオポルジーナの場所は中止になりました。日伯総合センターに適当な場所としてリベルダーデ区に可能性があるのかどうかなど、この場で話し合って欲しい」と上原理事長は提案した。
 それに対し、「だいたい勝手に、コロニアよりも先に日本に紹介したり、ブラジルのマスコミで大々的に記事にしてもらったり、サンパウロ市議会で発表したりした責任はどうなるんですか。その挙句に、総会にもかけないで、このように中止したりして」。総会参加者の一人は声を荒げた。
 宮崎県人会の吉加江ネルソン氏は、「百周年祭典協会には、もっと民主的な手続きが必要だ。今回のレオポルジ―ナ案中止も、本来は総会が決めることでは」と述べた。
 下本八郎元州議は、「もっと日系社会の声を大事にしてほしい。場所に関して広い議論をし、充分な総意の元に計画を進めて欲しい」と注文した。
 工業移住者協会の小山昭朗氏は「場所をリベルダーデに代えるというが、莫大な費用のかかる日伯総合センター自体が必要なのか、そこから議論した方がいい」と提案した。
 サンタクルース病院の横田パウロ理事長も、「上原理事長は大変難しい決定を下した。そのことに個人的に拍手を贈りたい」と前置きし、「次の百年を決める大事な話。重要事項を決める前にセミナーを開催するなど、開かれた議論が必要。少数意見を尊重する態度を求めたい」と語った。
 さらに「現在、三十数団体が副理事長になっているが、遠隔地の人が多く、日常的にサンパウロ市に来られない現実がある。もっと電話、メールを使って連絡を密にする必要がある。一カ月に一回は理事会を開いたほうがいいのでは」と語った。
 県連の中沢宏一会長は、「レオポルジーナ案を再考すべきだと、県連は昨年から主張してきた。しかし、廃止する決定が遅れたことで、大事な時間を失った。その間、ブラジル社会への広報も行われるなど、連邦政府や日本政府に対しても信用を失った。これを回復するには、相当な努力をしないといけない」とした。
 その後、「レオポルジ―ナ案を中止」する件が拍手で承認され、続いて「別の場所を探す」ことも承認された。
 一連の批判に次ぐ批判を聞いた後、山中補佐官は「ブラジリアの閣僚会議にも参加するが、大統領訪日一カ月前なのに百周年に関する提案が何も挙がってこないことを不安視する声がでている。このままでは大統領は百年祭に関したことを何も発表できない恐れがある。二国間にとって極めて重要なことであり、それに支障が生じるようなことになってはならない」と混乱した現状を諌めた。
 最後に小原彰総務委員長がすっくと立ち上がり、「全ての前に、重要なことがある。我々のコムニダーデのために全霊を尽くした小林パウロ下議に一分間の黙祷!」と一喝。「ブラジル政府は百年祭を大変心配している。ご苦労をされた移住者一世のみなさんに感謝を捧げ、団結を誓いましょう」と呼びかけた。
 上原理事長は「賛成も反対も存分に意見を言い合うことは大事なこと。今日は重要なアイデアがたくさん出された」と締め括った。
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 当日の出席者は法人会員二十八、個人会員八の計三十六。建築家の大竹ルイ氏ら招待者も二十人参加。
 この他、人事交代として新正監査として山本カワヒロ、山田タカオ二氏。監査補としてヤギ・ネルソン、クリタ・クラウジオ二氏が承認された。〇四年会計報告として総収入が約七万七千五百レアル、総支出が五万八千五百レアルで差し引き一万九千レアルの残高が報告された。続いて〇五年度分として、三十六万レアルを計上した予算案も承認された。

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