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口べた解消しよう=弁論講座=開始15年=日系人の弱点直します=ポ語スピーチも上達

5月26日(木)

 「日系人は人前で話すのが苦手。せっかく能力を持っていてもブラジル社会で堂々とできない。経験を活かし、人に伝えることを学ばなくてはいけない」  総合援助協会(SAM)の宮原ジョルジさんが日系人向けに弁論講座を始めて約十五年。講習を受けた生徒は千人以上。二十七回目の講座の〃卒業生〃二十二人が二十五日、巣立った。愛媛県人会(リベルダーデ区グロリア街470)であった修了式に参加したのは、十二人の講習生とその家族や県人会関係者およそ三十人。四月三十日から週二回の研修を終え、無事卒業式を迎えた。
 受講者の一人、愛媛県人会の二宮春男会長があいさつを兼ね、さっそくポルトガル語スピーチの上達ぶりを披露。「普段日本語を使うことが多いのでとても恥ずかしい」としながらも、「大変満足している、先生に感謝」と笑顔を見せた。
 ほかの生徒も壇上に立ってスピーチをし、講習の成果を発揮した。
 姉妹で参加した秋永クリスチアーニさんと白石メリッサさん。「恥ずかしがりだったのが受講の理由。いまはとても変わりました」「カラオケで歌うときに緊張しなくなりました」などと満足げだった。
 講師の宮原さんは十五年を振り返って、「十二、三歳の若者から八十歳くらいのお年寄りが集まって個々の体験や考えを語り合うことが自信につながるのでは」と語る。
 孫に日本語を勉強させるため、まず自分がポルトガル語で話せるようになろう、と講座を受け始めたおばあさんもいた。
 「発表を聞いた家族はみんな涙を流して、孫はそれから日本語の勉強を続けているそうです」
 こんな話もある。「普段は妻に冷たかった夫が受講をきっかけに、『愛している、残りの人生を二人で幸せに過ごしたい』と胸にしまっていた思いを吐露して夫婦が仲よくなった」
 修了式には、宮原さんが補佐を務めるサンパウロ市議の羽藤ジョージ議員も来賓として出席。「日系ブラジル人にとって、話してアピールすることは大切なこと。人前で自信を持って話せるようになったことは誇れます」と語りかけた。
 今後は広島県人会での講座を予定。「学生にも来て欲しい」ため、毎週土曜日になりそうだ。全八回、テキスト代などを含めて百レアル。修了後は認定証が贈られる。
 興味のある方は電話11・3873・1293または携帯電話9305・2273(コーディネーターの小山田祥雄さん)。

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