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コラム 樹海

 統計というのは何と無慈悲な数字だろう――。自分が住む国として、ブラジルに対し少しでもいいイメージを持ちたい、他人にも持って欲しいと日々思っている。でも、こんな記事が出てくると、そんなささやかな心がけなど木っ端微塵に吹っ飛ばされてしまう▼ユネスコが発表した世界各国の暴力による死者数の統計だ。二十八日付エスタード紙によれば、凄惨な大量殺戮で悪名を馳せたアンゴラ内戦では一九七五―二〇〇二年の二七年間で五五万人もの死者を出した。年間平均にすれば約二万人だ。ところがブラジルは九三―〇三年の十年間に三二万五千人が銃弾で殺された。年平均で三万二千人と内戦を軽く凌駕する▼政治テロも宗教紛争もない〃平和〃な伯国が〃犯罪天国〃になってしまっているのは逆説的ですらある。遺伝子操作をして人間を作り変える技術まで生まれそうな時代に、西部劇よろしくピストルが支配する、世界でも有数の危険地帯がまだある▼こんな統計だけを見ている外国の人にすれば、よほど危険な所に住んでいると思うだろう。八月に静岡県に住む両親が観光にくる予定だ。「住んでみればそうでもない」と言った所であまり説得力もない▼年間三万人が銃で殺されると聞いて、思い浮かぶ数字があった。日本ではほぼ同数が年間自殺する。「ブラジルでは死にたくない人が殺されている。日本から死にたい人が身代わりに来てくれたら」との冗談話も。いやいや、こんな縁起の悪い話ではピアーダにもならないか。(深)

05/6/30

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