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惨禍伝える絵と言葉 「ヒロシマ」展が開幕

2005年8月9日(火)

 「放心状態のお母さん、死んでいる赤ちゃんをしっかり抱っこ」「両手のヒフがペロリとはがれ……」「爆死 白骨体」――。
 サンパウロ市イビラプエラ公園の現代美術館(MAC)で六日、「ヒロシマ」展が開幕した。広島平和記念資料館収蔵の被爆者らが被災当時の様子などを描いた絵(複製)八十点あまりからは、原爆投下直後の阿鼻叫喚の現場が生々しく伝わってくる。その画面中、状況を言葉で補足説明している作品も目立ち、イメージと言葉の両方から原爆の惨禍を訴えかけてくる。
 ブラジル原爆被爆者協会の森田隆会長が制作したデッサン十点も含まれた。
 訪日中の父親に代わって開幕式であいさつした綏子(やすこ)さんは「広島から実物が届かないと知ってから、憑いたように一気に描いたもの。八十一歳になるのに、六十年前の記憶が鮮明なのに驚いている」と述べ、「父は、被爆者は自分たちだけであって欲しいと願っている。この展覧会では核兵器廃絶を目指す署名活動も実施される。平和へのひとつの出発点になればいい」と語った。
 今展はサンパウロ大学(USP)が企画。十月九日まで開かれ、四万人の来場を見込んでいる。
 問い合わせ電話11・5573・9932(MAC)。月曜日休館。

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