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奈良県人会=移民博物館で45周年祝う=夜の野外、珍しい試み=郷土の魅力展を同時開催

2005年10月4日(火)

 在伯奈良県人会創立四十五周年式典が一日、モッカ区の州立移民博物館で開かれた。クラウジオ・レンボーサンパウロ州副知事、西林万寿夫在聖総領事の両国政府関係者や日系団体代表者などの来賓、県人会員ら合わせて二百人以上が出席。日本からも、県国際課の中山悟課長(知事代理)をはじめとする慶祝団十六人が来伯し、節目の年を祝った。またこの日に合わせて、同記念館では「ふるさと奈良の魅力展」が開幕、訪れた人たちでにぎわった。
 奈良県からブラジルへの移住がはじまるのは一九一八年。戦前戦後を通じた移住者総数は千二百八十四人に上る。同県人会は一九六〇年一月六日、県連会長をつとめた和田周一郎氏を初代会長に設立された。
 会場となった移民博物館は、かつて多数の移民がここから新天地への第一歩を踏み出したサンパウロ州移民収容所だ。日本移民にとっても縁の深い場所で、県人会が同所で式典を開催するのは初めての試みだ。
 当日は州副知事、総領事のほか、JICAサンパウロ支所の石橋隆介次長、松尾治文協副会長、中沢宏一県連会長ら日系団体代表が会場を訪れた。日本からは中山県国際課長、新谷紘一県議を団長とする議員団、奈良県日系人ふるさと親善協会(家族会)の一行十六人が参加。記念館の前庭に設けられた舞台で、午後六時から式典が行われた。
 この日からはじまった「ふるさと奈良の魅力展」は、今年一月に急逝した前会長の有北和田之示さんが開催に向けて尽力してきたもの。県の国宝級の仏像写真や初期移民の生活用具、日伯両国の子供が描いた絵などが展示されている。
 今西ラウル勝治県人会長は式典で、「日系だけでなく、各国の移民にとって忘れられない場所である移民記念館で式典が開けることを誇りに思います」とあいさつ。
 郷土展の開催を「過去を見つめ、後輩に未来への希望を託すこのイベントは、之示さんの夢でもあった」と語り、「(郷土展が)日本の文化を広めるとともに、子供たちの将来の交流につながるものと確信しています」と述べた。
 続いて中山課長が柿本善也奈良県知事のメッセージを代読。有北前会長の死を悼みその功績に敬意を表するとともに、困難を乗り越えブラジル社会で活躍する県人の努力と、母県との交流に尽力してきた県人会の功績を称えた。
 また、二〇一〇年の県人会創立五十周年が平城京遷都千三百年にあたることにも触れ「これからも意義ある取組みを進めていきたい」と祝辞を贈った。
 訪伯議員団の新谷団長、奈良県日系人ふるさと親善協会の井上源一会長など慶祝団代表、来賓のあいさつに続き、留学・研修生を代表して沢口千代美さん(〇四年留学生)が謝辞。
 県人会や県庁の関係者への謝意を表明し、「日本語や日本人の考えを教えてくれた祖父母や両親に感謝します」と述べ、「これからもブラジルや日本、全ての懸け橋になるよう労力を惜しみません」と語った。
 その後舞台では、県知事から功労者、高齢者へ表彰状が渡されたほか、県から県人会へ記念品と贈呈金、日系三団体へ協力金を贈呈。今西会長から来伯団代表へ記念品が手渡された。

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