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本格的な長唄を紹介=演奏家約10人が来伯公演=来年6月

2005年10月27日(木)

 「日伯長唄演奏会南米公演」の一行が来年六月、ブラジルを訪れる。日本の伝統文化である長唄を南米に紹介するもので、日本の演奏家による南米公演は初めてのこと。このほど、演奏会の実行責任者を務める杉浦和子さんが事前の準備のため来伯した。
 杉浦さんは日本企業の駐在員夫人として九三年に来伯。九九年までの滞在中、同好の士を募って三味線や唄を指導してきた。九六年にはサンパウロで同好会「和の会」を結成。帰国後六年が経った今も年に二度ほどブラジルを訪れ、指導を続けている。
 長唄は歌舞伎・舞踊の伴奏音楽として発展してきた、日本の伝統的な三味線音楽の一つ。杉浦さんは日本の伝統音楽の代表的ジャンルでありながら、これまで南米で紹介される機会の少なかった長唄の演奏会を実現するため奔走してきた。
 「長唄は邦楽では一番メジャーな部分。いままで南米では専門家による演奏会はありませんでした。この機会に正式な長唄を紹介できたら」と杉浦さんは抱負を語る。
 公演にあたっては、日本から演奏家や囃子方、日本舞踊の専門家など約十人が来伯。長唄を囃子入りの正式な形で演奏するとともに、三味線や打楽器などを体験するワークショップも実施する予定だ。
 「日本の音楽の表現には、例えば『祭り』や『寒さ』『雪』などそれぞれ意味があり、それを踊りで表現します。そのメロディーパターンなどを説明しながら長唄を紹介したい。日本の人でもほとんど知らない世界です。興味のある方にたくさん参加してほしい」と杉浦さん。
 もう一つが、ブラジルで長唄や日本舞踊に携わる人たちとの共演。杉浦さんは来月上旬までの滞在中、ブラジル国内の関係者に協力を呼びかけていく予定だ。
 公演は二〇〇六年六月。すでにブラジル日本文化協会とポルト・アレグレでの開催が決まっているほか、ブエノスアイレスでの開催について交渉を進めている。今後、地方都市から開催の要望があれば検討していく考えだという。

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