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記者の目=文協の今後に関心を=望まれる会員の積極参加

2005年10月28日(金)

 今回の臨時評議員会では、選挙制度を従来の評議員会選任制に戻すかどうかが討議される。会そのものの存在意義と権限を問うもので、次回選挙が〇七年であることを踏まえれば、百周年に直結する重要な決断と見ていい。
 文協は三千四百会員に文書で意見、提案を呼びかけているが、文協事務局に届けられたものは十通に満たない(二十六日現在)。
 今年四月のブラジル日本文化協会の会長選挙から半年、大きな動きが見えないことからもコロニアの関心も急速に遠のいている。
 千人以上の新会員が半年分の会費五十五レアルを払い込み、選挙権を得た。委任状争いなど様々な憶測が飛び交った選挙ではあったが、少なくとも百周年、コロニアの将来に期待をかけ、一票を投じたのは間違いない。
 しかし、この七月に送られた残り半期分請求書への支払いはほとんどない(期限は十二月末であるため、まだ未納ではないが)ことに加え、すでに百人以上が退会申し込みをしているのだという。
 これは、多くの会員が「継続して会費を払う価値なし」との判断したことにほかならない。〃何らかの価値〃を任期の四分の一である半年間で提示できなかった上原政権に対する評価と言い換えてもいい。
 選挙景気とも揶揄されたが、その収入はあくまでも一時的なもので、数万レアルでしかない。選挙期間中、文協運営が数カ月ストップしたこともあり、結果的にはデメリットと見る文協関係者も多い。
 そんなことから、会長選挙を従来の評議員選任制に、という声もあるのだろうが、ここはしばし考えたい。サンパウロのみならず、あれほど二、三世をも含めたコロニアの耳目を集め、百周年への機運を高めたことを考えれば、その功績は大きい。
 その盛りあがりを維持できなかった現執行部の政治手腕から期待はできないが、最後のふんどしを締め直すために何らかの形で会員直接選挙を利用できるのではないか。
 もう一点指摘するならば、「百周年事業に対する文協独自(文書では固有となっているが)の記念事業」が議題に挙げられているが、それほどの体力が文協にあるのだろうか。
 ブラジル日本文化協会五十周年事業に挙げられている大講堂改修が座礁に乗り上げている。十二月十八日に行われる記念式典では、年老いた一世移民たちが額を汗で拭い、固い椅子に座りながら、改修事業の目処を聞くこともないだろう。
 今回の評議員会の重要性を踏まえ、看過することなく積極的に参加することが文協会員の責務とも思うがどうか。それがひいては百周年に繋がっていくことにほかならないのだから。          (剛)

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