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来年、ブラジル進出50周年に=味の素=新社屋や社史編纂=主力分野強化で新商品=3年で販売倍増の勢い

2005年11月1日(火)

 味の素インテルアメリカーナ社(酒井芳彦社長)は今年二月に新工場定礎式、三月には個食粉末スープという新分野を開拓する意欲的商品を発売、四月からダイエットタイプの粉末ジュースと立て続けに新戦略を打ち出してきた。さらに十月二十五日には取引関係社約三百人を招いて、今月末から販売開始される新製品発表イベントをサンパウロ市内ホテルで盛大に催し、主力商品強化を図った。来年迎えるブラジル進出五十周年に向けて、社史編纂や新社屋建設計画も進めており、着々と地歩を固めている。
 前身のアジノモト・ド・ブラジル社は一九五六年七月二十六日に創業した。酒井社長は「当初は日系の方々向けの事業を中心にスタートしました」と同日の記者会見で振り返った。「日系の方々の多大なる支援をベースにして、ブラジル市場全体を対象とした企業に成長し、今では輸出も手がけている」。
 一般消費者向け商品は〇五年度、販売金額六億レアル(消費者購入価格ベース)の目標を達成する勢いで、ほぼ三年で倍増するペースを保っている。日本本社にとっても同分野の最重点国に成長した。さらに調味料やアミノ酸の世界への供給基地として、タイ国社と双璧をなす会社になった。
 サンパウロ市内の現社屋は家三軒分を買ってつなげているが、事業規模からすると手狭になった。新社屋用地は取得済みで、〇七年に完成させる予定。創立時の社員などから当時の様子を取材し社史編纂を進めるなど、記念事業の準備にぬかりはないようだ。
 本業面でも、個食スープ「VONO」が発売から五カ月現在で市場の四〇%を占有するトップブランドになり、ダイエット粉末ジュース「FIT」も順調に売り上げを伸ばし、新分野開拓で成功してきた。
 今回は、全売り上げの約半分をしめる主力商品「SAZON」(調味料)の強化を図る、新しい切り口の次の新商品を発表した。
 同Sabor do Nordesteは、北東伯や北伯独特の風味と強い色を簡単に料理に付加できる配合調味料だ。従来とは異なり、新しく打ち出した地域戦略商品だ。十月下旬から同地域で先行発売したのち、そこからの国内移住者の多いサンパウロでも販売していく。
 「Caldo Sazon」Costelaは牛アバラ肉風味のブイヨンパウダーだ。現在ある野菜・肉・鶏肉の三味に加え、新商品では、より強い肉の風味やコク味を特徴とし、さらにブラジル料理に特化した味を打ち出した。また「Caldo Sazon」Profissio nalは業務用商品で一キロ入り。
 同サゾンは八八年に発売開始して以来、徐々にシェアをのばしている。調査によれば、今年は全伯世帯の四〇%超が一度は購入することが確実という。「ブラジルの食生活に欠かせないというポジションを確立しつつある」と一般用製品担当の天羽賢次取締役はいう。
 加えて、夏向け新商品として粉末ジュース「MID」に、初めてミックス・フルーツタイプを作った。
 この発表イベントのために来伯した本社の伊藤雅俊専務執行役員は、「ベースとなる考え方は日本だが、世界中でその国の食生活にあった形で提案していく。これからも日本の食品文化で世界の役に立っていきたい」と語り、節目の年に向ってさらに積極展開する意気込みをあらわした。

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