ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

 アメリカでは中南米を「裏庭」と呼ぶらしいけれども、この地域はなかなかにしぶとい。あのカストロ議長は自慢の鬚も白くなりいささか肥満気味だしかっての精悍さはない。だが―。革命思想への信頼は昔に倍するし、歯切れのいい演説は見事なばかりである。そんな影響でもあるまいが、ヴェネズエラのチャベス大統領を筆頭にルーラ大統領やアゼンチン、チリなどと革新系というか左系の政権が多い▼チャベス大統領の反米はかなりきついし、ルーラ大統領もカストロ議長とは「友情」で結ばれている。このような良好な関係は大いに結構であるし、ブラジルとキュ―バが友好に結ばれるのはいい。しかし―である。ヴェ―ジャ誌が報道し政治問題化している300万ドルの選挙資金供与となると話はまったく別である。勿論のこと、PTもキュ―バ大使館も「そんな事実はない」と強く否定してはいる▼この他にコロンビア革命軍(FARC)から500万ドルの献金があったの噂もあるし、なにやらきな臭い匂いがしないでもない。64年の軍事革命が起こったのも、時のジョン・ゴウラルチ大統領が中国への傾斜を強くしすぎたの批判からとされるし、外国との結びつきによる失敗はこれまでにもある。野党のPSDBとPFLは大統領弾劾を主張しているし、しばらくは騒ぎが続くかもしれない▼尤も―、事件を裏付ける確定的な証拠があるわけではない。単なるPT党員の証言による「献金事件」なのだが、大統領とPTは、国民にきちんと説明する必要があるのは云うまでもない。   (遯)

05/11/8

image_print