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会長のなり手はいるのか=救済会、候補絞込み難航=「若い人にやってもらおう」=「女性だと華になりうる」――来年1月結論出る見込み

2005年12月27日(火)

 なり手はいるのか、いないのか? 救済会(左近寿一会長)は、来年三月で役員の任期が切れるのに伴って、次期会長候補の人選を始めている。足に不調を訴える左近会長(80)が辞任を表明している一方で、吉岡黎明第一副会長や大浦文雄常任理事など一部の幹部が百周年祭典協会に携わって手が離せない状態。人材の絞りこみが難航している。来年一月には結論が下される見込みだが、白紙の状態に近く、これから二転三転ありそうだ。
 「故渡辺マルガリーダさんら創立者の精神や救済会の歴史をしっかりと若手に伝えていくこと」。左近会長が〇二年に会長に就任した時に、課せられた役割の一つだ。
 いずれ二世にバトンタッチすることを見据えての戦略だった。来年三月の役員改選について、同会長は「八十代の一世が会長を務めるのは、組織にとって好ましいことではないのではないか」と明かす。
 しかし、〇二年とは状況が大きく変わった。百周年を間近に控えて、吉岡黎明第一副会長が文協や百周年祭典協会に関わり、救済会の仕事に専念できないのが現状。「いろいろ抱えているので、会長を引き受けるのはちょっと……」としぶる。
 こうした恐れは〇四年の改選時に既に予測されていたので、第二副会長に上島悦子さんが据えられていた。順当にいけば、同第二副会長が次期会長に推される。内部では、経験の浅さを指摘する声も。斬新さを期待できる代わりに、運営路線が大きく変わってしまうのでないかという懸念が持たれているわけだ。
 戦争中の活動から数えて六十年以上の歴史を持ち、保守的な体質の一面が現われているのかもしれない。
 「地位は人をつくると言いますから。若い人にどんどんやってもらわないと」と、大胆な人事を期待する意見があるのも事実。故渡辺さんと同じく女性だということで、華になりうるという。
 希望の家福祉協会、こどものそのといった日系福祉団体は二世の理事長が指揮をとっており、救済会も同様に二世の会長を選んでもおかしくない。むしろ、自然なのかもしれない。
 しかし、救済会がこれらの団体と大きく異なるのは、憩の園の入所者のほとんどが一世であることだ。理事会と入所者の意識に、大きな隔たりが生じることは避けたいところ。「一世のお年寄りの気持ちを十分に理解できる人材」が求められる。
 そこで、浮上した人物が大浦文雄常任理事(80)だ。三十五年の経験を持ち、故渡辺さんとも直接接してきた。が、同常任理事は祭典協会の総務副委員長。特に、アルモニアの日伯学園構想に情熱を注いでいる。
 「これ(日伯学園)が、私の最後の仕事だと思ってやる」ときっぱり。可能なかぎり救済会を手助けするつもりだが、今のところ会長職を受ける意思を示していない。
 長年の経験があり、会長候補に推されているのは、このほか平田ミツオ専任理事(二世)、浅川正雄第二会計理事(二世)、相田祐弘理事(一世)。現段階では、自身の態度を決めかねているようだ。両副会長に加えて、これらの理事が年明け後にどんな意思を固めるのか、注目される。

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