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■ひとマチ点描■国境を超えた愛、実る

ニッケイ新聞 2008年3月18日付け

 日伯の愛、結実――。時事通信サンパウロ支局長の市川亮太さん(35、北海道)とアナルシア・ピントさん(24、サンパウロ州イタペチニンガ市)が15日、新婦の古里、イタペチニンガ市で結婚式を挙げ、友人ら約百人が二人の門出を祝った。
 市川さんは時事通信社のサンパウロ支局長として、04年4月に着任。06年にアナルシアさんと知り合い、言葉や習慣の違いの壁を克服しながら、2年間、着実に愛を育んできた。
 4年の特派員生活を終え、今月末に日本に帰国することを契機に結婚を決断、新婦と東京に愛の巣を構え、新生活をスタートさせる。
 新婦の母、マリア・アパレシーダさんは、娘の晴れ姿に目を細めながら、「亮太さんはよく家にも遊びにきて、親戚の子供の面倒も見てくれるとてもいい人。娘が日本に行くのは心配だが、幸せな人生を送ってほしい」と喜ぶ。
 式に出席するため来伯した新郎の父、市川恒樹さん(62、北海道大学教授)は、新婦の日本での生活の苦労を気遣いながらも、「人生安泰に生きるより、『何でもしてやろう』という若い二人を、楽しみながら見守りたい」と朗らかな表情を見せた。
 「人生で一番幸せな日」と最高の笑顔を見せる新婦のアナルシアさんは4月、一足先に帰国する市川さんの待つ東京に向かう。
 「まずは日本語をしっかりと勉強したい」と新生活への抱負を述べた。
 「市川君とは日本での南米報道のあり方を模索し、励ましあった仲」と話すのは、友人で朝日新聞特派員の石田博士さん(37)。「(日本での生活はブラジル人である)新婦にとって難しい部分もある。たっぷり愛情を注ぎ、支えてあげてほしい」と目に力を込め、エールを送った。
 市川さんは、「結婚はこれで最後にしたい」と自戒とユーモアを込めつつ、満面の笑みを見せ、友人らからの祝福を受けていた。

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