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「自閉症児の未来」=講演会に参加して=ウルグアイから三枝専門家

2006年1月11日(水)

 ウルグアイの自閉症児自立訓練施設「モンテビデオ・ヒガシ校」で長年活動を続ける三枝たか子さんが二十一日、グアルーリョス市の日伯友好病院(Rua Pistoia,100,Parque Novo Mundo)で講演する。
 講演は、同病院六階カンファレンスルームで午前十時から。「自閉症児の将来の展望」をテーマに、ウルグアイにおける生活療法の現状、自閉症者自立訓練センターでの活動などを紹介する。
 その治療法は生活療法と呼ばれる。学校や家庭での生活を通じて障害を克服し、将来の社会的自立をめざすもので、東京の武蔵野東幼稚園ではじまり、北米ボストン、ウルグアイなど海外にも広がっている。
 三枝さんは三十年以上にわたって武蔵野東幼稚園で自閉症児教育に携わってきた。ウルグアイのモンテビデオ・ヒガシ校は九四年に開校。三枝さんはJICAの専門家として派遣以来、現在まで同校で指導にあたっている。〇三年十二月にもサンパウロで講演。今回の講演は、サンパウロ日伯援護協会の後援により実現した。
 モンテビデオ・ヒガシ校では〇三年に高校教育まで終えた最初の卒業生を出した。昨年十一月には日本政府の草の根資金協力を受けウルグアイ自閉症者自立訓練研修センターが落成した。こうした動きを受け、ブラジルでも、自閉症者のための訓練施設を建設する動きがはじまっている。
 案内に訪れた医師の矢野高行さんによれば、重度の自閉症者の割合は一万人に一人。ブラジル全体で一万六千人にのぼるという。
 自身も自閉症の子をもつ矢野さん。モンテビデオ・ヒガシ校に一カ月間通った子供の変化に生活療法の効果を知り、ブラジルでの普及活動をはじめた。矢野さんは「医者通いや高価な薬、睡眠障害など、自閉症児の親は将来を考える余裕がないというのが実情」と家族をめぐる現状を説明する。
 「自閉症児の未来について希望をもてる講演をして下さると思います」と語る矢野さん。「ぜひ多くの方に聴講していただきたい」と呼びかけた。
 参加申し込みは援協福祉部まで。電話11・3385・6606(IvoneまたはMarilza)。交通手段のない人は援協前から車を手配するので、申し込みの際にその旨を伝えること。
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 十四日には、文協ビル五階の援協会議室で、第二回自閉症児親の会が開かれる。午前九時から十一時ごろまで。

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