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55年迎えた弓場バレエ=クリスマスの集いに700人=芝居「二十日ネズミと人間」も

バレエ公演フィナーレ

バレエ公演フィナーレ

 サンパウロ州ミランドーポリス市の弓場農場(コムニダーデ・ユバ協会、望月友三代表)が12月25日と30日の両日、恒例の『クリスマスの集い』を開催した。来場した700人は、一年の練習の成果に大きな拍手を送った。

 午後7時半、望月代表が開会挨拶として「この農場は皆さんの協力で続けられている。今日は一年の成果を見て欲しい」と語った。高山康子さんによる「悲愴第二楽章」のピアノ演奏で第一部「音楽」が始まり、矢崎勇さんが「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」をアルトサックスで披露した他、弦楽演奏等が行われた。最後に混声合唱で荘厳な「ハレルヤ」を発表され、大きな拍手が起こった。
 第二部「バレエ」では若手の弓場幸江さんが振り付けした「バイランド」を男女が披露。赤い照明の中を情熱的に踊り終えると、それに負けない熱烈な歓声が沸いた。
 舞台の暗転中、55年目を迎えたバレエの練習風景や公演中の写真が会場のスクリーンに映し出された。また、白い衣装で神秘的に踊る「月のひかり」、弓場幸江さん振り付けで新作の「This is one for you」、第二部最後には「フィナーレ」が披露され、子どもから年長者までバレエの出演者が勢揃いした。
 第三部では「二十日ネズミと人間」の芝居を披露。二人組の出稼ぎ労働者である小柄で頭の切れるジョージと、大柄で力持ちだが知恵遅れのレニーの悲劇を、矢崎勇さん、弓場大吾さんが主演した。日本語で行われたがスクリーンに台詞のポルトガル語訳が映され、会場から笑いや驚きの声が上がるなど観客を虜にした。

観客が息を呑んで見守った演劇の大団円

観客が息を呑んで見守った演劇の大団円

 サンパウロ州アラサツーバ市から来場した丸山イサオさん(77、二世)は「毎年欠かさず来場しているが、今年も素晴らしかった」と微笑んだ。サンパウロ市リベルダーデ区に住む弟のジョルドンさん(70、同)は「僕は今日が二回目。とても上手になって新しく見るものばかりで楽しかった」と語った。
 弓場農場でバレエを教え続ける小原明子さん(81、東京)は、「体作りから教え始めて、もう55年。これからは年をとってもできるような舞台づくりをしたい」と抱負を語った。


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 毎回多くの人が楽しみにしている弓場農場の「芝居」。今回脚色、演出から照明、音楽、美術まで担当した矢崎正勝さん(73、山梨県)。3時間の原作をその半分の脚本に書き直し、役者には映画を見せて芝居の練習をさせた。「今回の芝居の出来はまあまあ。色々反省点があった」と厳しい評価。真剣な姿勢の監督がいるからこそ人気の発表になるのだろう。主演を務めた矢崎勇さん(37、三世)は映画「汚れた心」にも出演している。弓場農場から有名俳優が輩出する日も近い?

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