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商用数次ビザ発給へ前進=日伯領事当局間協議=沼田局長が会見で報告=来年に社会保障協定も

ニッケイ新聞 2011年10月21日付け

 ブラジリアで17日に開催された『第5回日本ブラジル領事当局間協議』のため来伯した外務省の沼田幹夫領事局長が18日午後、在サンパウロ日本国総領事館で会議の目的と結果について記者会見を行った。商用数次ビザ発給、先月上院を通過した両国間の社会保障協定の進捗状況について報告、在日ブラジル人子弟問題に関しても言及した。

 同会議には日本側から、三輪昭駐ブラジル大使、沼田領事局長、外務省領事局外国人課の早川修課長、小畑政孝氏、内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付の梅澤敦参事官、ブラジル側からエドゥアルド・グラジローニ外務省副次官、ルイーザ・ロペス・ダ・シルバ領事・在外ブラジル人局長ほか、外務省、労働雇用省、社会保障省、法務省の関係者が出席した。
 会見で沼田氏は、ブラジル政府による3年間有効な商用数次ビザ(1回の滞在が90日以内)発給の可能性について、「必要な条件は調整済み」と報告。施行時期について、「両国で国内手続きを行なう必要があるが、できるだけ早急に実現できれば」と述べた。
 日本で今年5月に国会で承認され、ブラジルでは先月、上院を通過した両国間の社会保障協定に関して、「大部分は終了し、両国で外交文書を発行するための手続きに入っている。来年から施行し、保険料の二重支払いが解消できるようになるのでは」と話した。
 続いて、約22万人の在日ブラジル人支援にも言及。従来から実施する支援策を続行する立場を説明する一方で、ブラジル政府のもう一歩前に進んだ支援を要請したという。
 日本の文科省は在留邦人に教科書を無償で提供していることを例に挙げ、同様に「ポ語教科書の無償提供」などの支援を求めたという。
 これに対し、ブラジル側は、「寄付を募り数万冊の教科書を既に入手、ポルトガル語の教師養成も行っている」との返答があったという。
 そのほか日本側から、ブラジルでの運転免許証取得の簡素化、外国人登録や就労ビザ発給の迅速化について努力を要請、これに対し、「関係各国から問題視されており、必要性を十分認識している」として、前向きに善処するとの説明があったと報告した。

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