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また詐欺未遂が発生=サンパウロ市=出稼ぎ留守家族を狙う

2006年1月18日(水)

 日本にいるあなたの息子が警官相手に傷害事件を起こしたからお金が必要、サンパウロ総領事館に行って話をすれば分かるはず、などとポルトガル語を話す男からの電話が十三日正午ごろあったと、サンパウロ市の六十代の邦人男性が同日午後同総領事館を訪ねてきた。
 男性の息子は実際、出稼ぎのため日本に滞在中だが、担当領事と面談したところ、作り話であると判明。同総領事館では最近多発傾向にある出稼ぎ留守家族を狙う詐欺未遂事件とみて、注意を呼び掛ける。
 同総領事館は、十六日発行の「サンパウロ安全対策情報」にこの事件の概要と防犯対策を掲載した。
 それによると、電話の男は「事件をもみ消すには八千ドルが必要。でなければ七年は刑務所入れられてしまう」とも話し、男性が疑うと、「サンパウロ総領事館のタケオ・ノゾノさんが手続きしてくれる。総領事館のサチコさんに話をすれば分かる」。同総領事館職員の名前を出すことで、信用させようとした模様。
 ただいずれも同総領事館には実在しない架空の人物名だった。
 電話を切ると男性は同総領事館に向かい、日系二世の妻が自宅に残った。すると再度同じ男から「自宅付近の路上にお金を取りにいかせたので持ってきて欲しい」との電話があった。
 妻が指定された場所に向かうと、「マウリシオ・デ・アルメイダ」と名乗る非日系人が話し掛けてきた。同時に妻の携帯電話が鳴った。さきの男だった。「その男にお金を渡して欲しい」。が妻は、「マウリシオ」が身分証明書も所持していなかったことから、断って帰宅したという。
 また、被害者の男性は、電話の男は「マツモト・マサユキ」と名乗っていたとし、「ポルトガル語の発音が日系人風だった」とも証言している。
 この詐欺未遂事件について、同総領事館の大熊博文領事(警備担当)は「男性が信用しなかったので、ターゲットを妻に変えたのだろう。二人を離れ離れにするため、とっさに総領事館職員の名前を出し、男性に総領事館に行くよう指示したのでは」とみる。
 だが、架空の職員の名前では作り話であることがすぐに判明するため、「行き当たりばったりのお粗末な犯行」。それでも、だまされるケースが後を絶たないことが、こうした事件が相次いでいる背景にはある。
 今回の被害者の男性も「自分の周りでも実際に被害にあった人がいる」と漏らしていたという。
 同総領事館では出稼ぎ留守家族を狙った詐欺事件が「多発している模様」とし、次の六項目の防犯対策を挙げ、注意を喚起する。 (1)相手に家族の住所、身体的特徴などを質問するなどして話の正確度を確認する(2)電話を切った後、必ず本人やその家族らと連絡を取り、事実を確認する(3)事実確認できないときは絶対に現金を渡さない(4)総領事館職員の名前を名乗ったり、総領事館が関係しているような話をした場合は、総領事館に電話で確認する(5)日本に在住する家族・親族に対して、このような詐欺事件が多発していることを再度注意喚起のうえ、不審な電話などがあった場合には直ちに相互連絡を行なう(6)相手の呼び出しなどには絶対に応じない。

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