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コラム 樹海

 グァララペス文協の日本語学校で、二年間、日本語や日本の作法を教えていた藤井直子・日系社会青年ボランティア(25)が、このほど豊橋市に帰った。同市の教育長が、待ち構えていたかのように、市内に八百人近い外国人児童生徒がいる。あなたのような人が必要だ、と帰国を〃歓迎〃したそうだ▼教育長の気持がよくわかる。ブラジルに土地勘があり、ポ語も話せるようになった、藤井さんのような人は、日本国内にそう多くはない。貴重な人材にちがいない▼藤井さんは、学生時代、デカセギ子女を対象とした日本語学校の手伝いを体験した。JICAの青年ボランティア事業の話を聞き応募、合格して、グァララペスに赴任したのだった。目的意識が最初から明瞭だったようで、勤務の最初こそ、教えようとしたことを理解してもらうのに時間がかかったが、後半は楽しく過ごせたと言っている▼言葉をおぼえて、子供たちと気持が通うようにまでなったのは、デカセギ子女にキメ細かい対応をするうえで、〃強力な武器〃になるだろう。ただ単なる日本語教師でないあたりがすばらしいのである▼行政側としても「奇貨おくべし」(好機を逃すな)であり、得難い人材は、相応の待遇をして、働いてもらうようにしたらいい。ほかの自治体も帰国青年ボランティアをマークし「積極活用」に取り組むようすすめたい。青年たちの多くは二年間の滞伯で「知伯」になっており、「嫌伯」は少ないと思われる。応えてくれるだろう。(神)

06/02/10

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