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恵会=日系高齢者、楽しんで学ぶ場=ペ・バレットでもう13年=参加、90歳代や車椅子も=「生きがいを与えよう」と

2006年2月24日(金)

 ペレイラ・バレット市内の教会で週に二回、日系高齢者を集めた、レクリエーション活動が実施されている。六十代から九十代までの約四~五十人(平均年齢七十八歳)が参加。午前中の約二時間、体操や手芸、コ―ラスを楽しんでいる。「言葉の違いや世代間のギャップに悩んでいるお年寄りに、生きがいを与えれば」。主宰している「恵会」の輪湖五月会長(72、二世)は、そう力を込めて語る。コロニアの高齢化が進むにしたがって、サンパウロのような大都市だけでなく、地方でも在宅介護を支える態勢が求められてくるかもしれない。
 恵会は聖光会の下に組織されているもの。発足は九三年四月。今年で十三年目になる。サンパウロで活動している、デイ・ケアー関連の日系団体に比べて、歴史に遜色はない。
 輪湖さんは旧日伯新聞創刊者の一人、輪湖俊午郎氏(一八九〇─一九六五)の次男、章さんの妻。ペレイラ・バレットで生まれ育ち、二十年以上、裁縫教室を営んだ。
 「日系人のお年寄りが、余生を楽しく送れるような活動を始めたい」。教室を閉めて第二の人生をスタートさせる時、そんな決意をした。
 当時、日本のスーパーであるジャスコ系の「ブラジャスコ」が同市で、牧畜関係の事業を展開していた。社長夫人がノウハウを手ほどきし、牧師ら三人で恵会をつくった。会の名前は、会員の公募で選んだ。「ささやかな生きがいを与えることができれば」との思いが込められた。
 チエテ移住地に代表されるように、現地の日系移民史は戦前から始まり、日系人の高齢化が早かった。言葉や習慣の違いなどから、自宅に居場所がなくなった人もいた。今のところ、会員は日系人に限っている。
 参加者のうち、九十代が五人。車椅子使用者、手足の不自由な人もいる。過去には、うつ病の傾向がある、六十代の人が駆け込んできたことも。
 「水・金の午前八時十五分から十時までなんですが、午前七時三十分にはほとんどの人が集まっておしゃべりをしています」。
 健康に関する講話、リズム体操、ゲーム、手芸、コーラスの練習。二時間弱の時間にしては、かなり密度の濃い内容になっている。ほかの地域から視察希望から入るなど、評判は上々だ。
 毎年六月に、コーラスの発表会を開いている。目的意識を持つことで、日々の生活にある種の緊張感が出るからだ。輪湖会長は「舞台に上がって成果を披露することになるので、みんな熱心に練習するんですよ」と話す。
 ボランティアの数も十人まで増え、活動日の拡充を求める声も聞かれる。手芸ひとつをとっても、準備に手間がかかるので、現状が精一杯だ。輪湖会長は「亡くなった母に、何もしてあげられなかったので、罪滅ぼしになればと思ってがんばりたい」と意欲を燃やしている。

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