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サンパウロ州政府=洪水のないきれいな川を=チエテ工事終了式典盛大に

2006年3月21日(火)

 日本政府の融資を受けて行われたチエテ川環境改善事業の第二期工事終了式典が十九日、チエテ・ピニェイロス両河川の合流点(セボロン)のサンパウロ州水資源・エネルギー局(DAEE)工事事務所敷地で開かれた。式典には、先週PSDBの大統領選候補に選出されたジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事、堀村隆彦駐伯大使など両国の関係者が出席。アウキミン知事は、同事業に長年たずさわってきた関係者の労をねぎらうとともに、日本政府の協力に感謝を表わした。
 当日は知事、大使のほか、ジョゼ・セーラサンパウロ市長や州、市の関係者、西林万寿夫在聖総領事、相川武利JBICリオ事務所首席駐在員など、両国機関の代表が一堂に会した。
 汚染と洪水に悩まされてきたチエテ川。かつてはバンデイランテスの交通路として、その後は水泳やレガッタも行われる市民の憩いの場として親しまれてきた。
 同事業は、チエテ川の水質改善と、川底の浚渫による洪水防止を目的にはじまったもの。故・マリオ・コーバス知事からアルキミン現知事に引き継がれ、事業開始から十三年の年月を経て今年一月に終了した。
 改修事業の総延長は約五十キロ。〇二年にはじまった第二期工事では、JBICを通じて、事業資金の七五%にあたる約四百九十億円の円借款が供与された。
 工事区間は、チエテ自然公園からセボロン付近までの二十四・五キロ。水深を五mまで掘り下げたほか、それまで二十数mだった川底の幅を最大四十六mまで拡張。土手をコンクリートで護岸した。DAEEではこれにより、二年に一度の割合だった洪水発生率が、百年に一度まで減少するとしている。
 セボロンの中央に造成された人工島は、日本政府の協力を記念して「ILHA DO JAPAO(日本島)」と名付けられることになっている。また、工事事務所の敷地は〇八年に向けて公園として整備される計画だ。
 式典に当たり、ブラジル日本都道府県人会連合会(中沢宏一会長)が中心となって島を飾った。高さ四メートルの鳥居二基を設置したほか、岸壁には四十七都道府県、百周年協会などの幟。抜けるような青空のもと、日伯両国、サンパウロ州の旗とともに約八mの高さに五十?(りゅう)の鯉のぼりが舞った。
 式典に先立ち午前十時から、島の対岸で南米神宮逢坂和男宮司による祈願式を執り行なった。島への植樹に協力した県連の中沢会長、小山明朗・ブラジル・ニッポン移住者協会長、菊池義治・百周年祭典協会総務副委員長をはじめ、約七十人が集まり、島の安全を祈願した。
 中沢会長は「『Ilha do Japao』と命名されたのはありがたいこと」と述べ「百周年に向け、州政府がこの地域を整備していく計画になっている。我々もできる限り協力していきましょう」と呼びかけた。
 知事、大使らの一行は、工事区間の途中で記念碑の除幕を行った後、船で式典会場へ。会場で船を待つ人は次第に増え、数百人に膨れ上がった。島の上でレキオス芸能同好会の子供たちのエイサー太鼓が歓迎する中、十一時前、一行を乗せた船は歓声とともに迎えられた。
 マウロ・アルセDAEE局長、相川JBIC首席駐在員、セーラ市長らに続いて祝辞を述べた堀村大使は、同事業がサンパウロ市民の生活向上に果たす役割を強調し、事業に携わった州、市関係者の尽力を称えた。また日伯交流年を二年後に控えた両国関係の重要性に触れ、今後の経済協力に対しても前向きな姿勢を見せた。
 最後にアウキミン知事があいさつ。知事は、海から離れた高原地帯に約千五百万人が暮らすサンパウロにとっての水資源の重要性を訴え、同事業の意義を強調。さらに、将来にわたってサンパウロ市の環境を保つには環境教育が必要と語り、その重要性を訴えた。
 知事はまた、二年後の日本移民百周年にも触れ、この日の式典を「百周年に先立つ祝い」と位置付け。最後に大使はじめ日本側関係者に「どうも、ありがとうございました」と日本語で謝辞を述べると、会場から大きな拍手が沸き起こった。

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