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デジタルTV=小泉首相も懇談へ=アモリン外相ら使節団=半導体工場設置求める

2006年4月11日(火)

 【既報関連】セルソ・アモリン外相ら三閣僚を中心とするデジタルTV調査使節団は九日、日本に向けて出発した。ブラジルへの半導体工場設置などに関して、小泉純一郎首相はじめ日本の主要閣僚と懇談、NECら関連企業トップとも交渉をするためとラジオブラス(国営通信)は伝えた。
 ブラジル政府はテレビの地上デジタル放送規格を日本・欧州・米国の三方式から選択する検討を重ねてきた。本来は二月十日までに決定するはずだったが、熾烈な売り込み競争が行われた結果、その決定は遅れに遅れている。決まれば、日伯交流年の経済面の目玉になると予想されることから、日本も官民をあげて取り組んでいる。
 訪日した一行はアモリン外相、エリオ・コスタ通信相、ルイス・フェルナンド・フルラン開発商工相(エタノール交渉のため別日程)ら三閣僚と官房、財務省、科学技術省の技官ら。ラジオブラスは十一日から十三日の間に、小泉首相、竹中平蔵総務相、麻生太郎外相、二階俊博経済産業相らのほかに、NHKの橋本元一会長、NEC、パナソニック、SONY、東芝らの関連業界代表者と話し合うと伝えた。
 今のところ、優勢といわれる日本勢、欧州勢にしても、巨額な投資を伴う半導体工場設置に関しては、一年程度の慎重な調査が必要との姿勢を崩していない。フルラン開発相は先週、一行は欧州視察も日程に含めるべきと主張したが、今回は見送られた。
 訪日後に、その成果を含めた提言書がルーラ大統領に提出される。「今回の訪日の成果次第で、日本方式のチャンスは増える」と九日付けエスタード紙は報じた。ただし、今のところ、結果発表がいつになるか発表されていない。
 当初はサッカーのドイツW杯にあわせて試験放送を開始し、九月ごろから本放送をする構想だったが、先週、テレビ業界団体の代表者が明らかにしたところでは、「今年中のデジタル放送開始は不可能、来年から」となっている。

    米国勢はエタノール攻勢

 急遽派遣された形のデジタルTV調査団に対し、それ以前から、フルラン開発相の訪日は決まっていた。二階経済産業相は十日に会談し、日本が二〇一〇年度に導入を目指す植物を原料とするバイオ燃料について意見交換した。日伯バイオ燃料作業部会の第一回会合で、フルラン開発相は利点を強調した。
 共同通信によれば、二階経産相は「日本でもバイオ燃料導入の機運が高まっている」との認識を示すと同時に、ブラジルに対して経済性や安定供給などの課題を説明した。
 三井物産はブラジルの石油公社ベトロブラスと共同で、エタノール及びその関連商品のブラジル内における生産、ブラジルからの輸出販売に関する事業化調査を行うことで合意に達した。フルラン開発相訪日を機に、二社間の合意書を締結したと発表した。
 一方、ラジオブラスによれば、フルラン開発相は訪日直前の七日、アメリカの上院議員から構成されたエタノール視察団一行とサンパウロ市のBNDES本部で会見した。十一日にはブラジリアで開発省技官らから詳細な説明を聞く。
 同広報によれば、北米カリフォルニアでは現在ガソリンに五・六%のアルコールを混合しており、九億ガロンの需要が発生している。このエタノールへの依存度を一〇%まで上げることが可能かどうかを検討するもの。
 米国ではすでにトウモロコシのアルコールが大量に消費されており、生産コストは一リットルあたり三十一セント。サトウキビから作ったものは二十セントと競争力が高い。昨年ブラジルは七百七十四億ドルのアルコールを米国に販売した実績がある。今年の一~二月だけで二百五十七億ドルを記録した。
 ブラジルは八九―〇四年まで世界最大のサトウキビ生産国であり、単位面積あたりの生産量も二〇%も増大させてきた。現在は米国をはじめスイス、インド、中国、オーストラリア、カナダなどの国々も興味を示しているという。

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