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秋晴れ、虚子忌全伯俳句大会=リ・ピーレス市に90人=90歳以上には花束贈る

2006年4月25日(火)

第十四回虚子忌全伯俳句大会が、二十一日、リベイロン・ピーレス市と同市日伯文化協会(村木義明会長)の共催(ニッケイ新聞社後援)により協会会館講堂で催された。気持ちのいい秋の晴天に恵まれ、遠くプレジデンテ・プルデンテ市からの参加者も迎えて、総勢九十人が、一日を俳句をひねって過ごした。
 サンパウロ市からの参加者は、朝七時にリベルターデ広場に集まると、二台のバスに分乗し、リ市に向けて移動した。
途中、一行は同市日本庭園にある虚子の句碑(リ・ピーレス市役所管轄)に立ち寄った。村木会長が「毎年来てくれるので、きれいに保つようにしています。」と述べ、文協会員の娘、大江さおりさん(10)による献花が行われた。庭園の噴水と竹の橋は、昨年増設されたばかりで、この日のために掃除が行われた。参加者たちは「きれいになった」と口々に言葉を交わしていた。
 開会式では、まず先没者に対しての黙祷、続いて、村木会長、中野光雄ニッケイ新聞常任顧問らが開会の挨拶を行い、大会はなごやかな雰囲気で始まった。
 今年の兼題は「鰯雲」「秋燕」「星月夜」「枝豆」「朝顔」「虚子忌」で五句投句。司会は、纐纈喜月さんで、軽妙な話ぶりは終始場を湧かせていた。
 昼食、午後のおやつは、文協婦人会が数日前から用意してきたという、手作りのお弁当やケーキ。
昼食後も投句の吟味を続け、午後二時過ぎから披講に移った。表彰式では、成績優秀者に賞品が贈られた。一般の選で一位だった栢野桂山さんと、代表選で一位だった西谷南風さんには、中野常任顧問が「皆様に幸せと勇気を与えるために描いた」という鯉の絵が贈られ、星野瞳さんからは、参加者全員に柚子味噌が配られた。
元気な高齢者にあやかりたいと、九十歳前後の参加者には花束をプレゼント。大会最高齢者の武井まことさん(97)は「参加することが大事だから」と言う。九十歳を過ぎてから俳句を始め、同大会には毎年参加している。明治四十二年に生まれ、来伯して七十五年になる。
 今年初めて参加した右田春雪さん(89)も「もてなしがよかった。来年もまた来ますよ」と嬉しそうに話した。大会の世話役をつとめた坂本美代子さんは「リ・ピーレス市の人々の一つになった心が嬉しかった」と満足げな笑顔をみせていた。午後四時半過ぎに、全ての日程を終えた。
代表選者による特選句は以下のとおり。
富重久子選
ほろにがき浮世の味かみどり茄子    池上しず子
池田童夢選
句碑の園おもむき深み虚子祀る     伊津野朝民
西谷南風選
鰯雲引き潮によるジャンガーダ     本広為子
栢野桂山選
鰯雲空のふところ広げけり        児玉和代
星野瞳選
百人の胸に火をつけ虚子忌かな      西谷南風
樋口玄海児選
トロピカルな果物供へ虚子祀ふ     西山ひろ子