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参加したら除名?!――の噂も=九州ブロック合同運動会=長崎が急きょ参加中止=若手会員らに動揺走る=「会員以外も積極参加を」

2006年5月24日(水)

 九州ブロック運動会に参加すると除名?!――との噂が、先週、長崎県人会の青年部などを駆け巡り、関係者に動揺が走った。本来、若者の親睦の場、県人会の将来を担う青年らが、県の垣根を越えて家族ぐるみで一日を楽しく過ごす運動会のはず・・・。この二十八日にジアデマ市の沖縄文化センターで行われる第四回九州ブロック運動会。半年前から九州ブロック(沖縄を入れた八県)で準備会合が行われ、この一カ月ほどは青年部を中心に毎週のように会議を重ねてきた。ところが、本番二週間前の十五日、中野恵市・長崎会長から参加中止の書面が届けられた。
 中野会長は同日に訪日。留守を預かる津高次夫第一副会長(元会長)の指示で同事務局から青年部ら会員の一人一人に、「会として参加を中止したから参加しないように」と釘を刺す電話がいった。
 異例の伝達に、青年らの中には「わざわざあった電話を無視して参加したら除名されるかも」との不安の声があがり動揺がひろがった。
 今年の運動会担当県、大分県人会の永松通一会長は「今まで半年も、みんなで仲良く準備をしてきたのに突然、参加中止を申し入れてきて残念です」と惜しむ。
 昨年の参加者は七百人を数えた。九州のなかでも長崎はもっとも運動会の経験が長く、合同でやる上でも基礎となったほど。今年も三~四台ものバスが大分県人会前から当日朝七時半に出発する予定だ。
 「若者の親睦の、せっかくの機会です。長崎から役員がこなくても、我々は個人参加を歓迎します」と永松会長は呼びかける。
 これに対し、津高副会長は参加中止を決めた理由を「昨年は役員が十人参加したが、一般会員はわずか一家族だけだった。役員が参加するために八百レアルもの分担金を使うのは、母県に対して申し訳ない。少なくとも二十人、三十人の一般会員が参加するような体制をまず作る必要ある」と説明した。この八百レアルは各県人会で負担し、バス代や景品に当てている。
 津高副会長は「中止にしたことを会員のみなさんに知らせないと、事情を知らないで参加する人がいたら悪いから」と事務局に指示したという。
 「参加したら除名ということはない」と噂話は否定。ただし、「今までさんざ呼びかけしてきたが参加者は減る一方だった。それを今回、あてつけのようにまとめて出るようなことがあれば、問題にすることもあるかもしれない」と釘を刺すのも忘れない。
 運動会という純然たる親睦の場に、県人会内の思惑が絡み、複雑な様相を呈している。「運動会はいい。県人会としても参加するべきだが、今はまだその体制ができていない」。
 「なにも突然、中止を決めたわけでない」と強調する。「三回も理事会で話し合って決めた」と津高副会長は繰り返す。
 ならば、若者を集める活動を始めるのかと問うと、「ポ語の分かる二世理事を中心に青年部を盛り上げたい」と具体的なアイデアはない様子。有名な長崎皿踊りも毎週練習しているが集まるのは十人程度、「少ない」と自ら断ずる。
 今年二月まで二年間会長を務めた丹生(にぶ)登さんによれば、〇四年に長崎が担当県だった合同運動会では五十人以上が参加。昨年も「けっこう来ていた」。
 津高さんのいう「一家族」は会費を払った一般会員のことで、非会員の参加者は相当数いたようだ。しかし、「会費も払わず総会にも出ないような非会員のために県の補助金八十万円を使うことは、母県に申し訳ない」と現理事会は考えている。
 これに対し、丹生さんは「日本の良い文化や生活習慣を、団体競技を通して若者やブラジル社会に理解してもらうのが運動会の理念だと思う。会員以外にも積極的に参加してもらってもいいのでは」と懐の広い考え方を薦める。
 加えて、「それに、参加者が少ないから参加中止にするのでなく、参加者を増やすようなことをすべき。若者がたくさん集まるような催しごとは、どんどんやったほうがいい」と提言をする。
 福岡の松尾治会長(県連会長)も「中野会長とは帰ってきてから良く話し合うつもり。〃内政干渉〃をするつもりはないが、親睦の催しなのに除名の噂とはもってほか。出たい人はどんどん参加してほしい」と運動会への参加を呼びかけた。
 たかが運動会、されど運動会。若者が集まるイベントをどう盛り上げていくか。問われているのは、日系団体の将来を担う人材をどう育成するか――という基本姿勢のようだ。

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