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春の叙勲3人の栄誉を祝う=中西さん、野村さん、田中さん=32団体100人余り集って=感激、まわりに感謝、なお前進

2006年6月13日(火)

 〇六年度春の叙勲を受けた中西忠勇さん(旭日単光章)、野村次郎さん(旭日双光章)、田中エミリアさん(旭日双光章)を招いての叙勲祝賀会が、八日夜、文協ビル貴賓室で開催された。三十二日系団体の代表を始め、百人を越える人が集まり受章した三人の栄誉を称えた。
 午後七時半、祝賀会は主賓、来賓を迎え厳粛な雰囲気で始まった。
 祝辞では、上原幸啓ブラジル日本文化協会会長が「今回の受章はコロニア発展の歴史と共にあり、日系コロニアの喜びである」と述べ、丸橋次郎在サンパウロ日本国総領事館首席領事は「三人はそれぞれの分野で地域社会や日伯両国のために貢献した。本人のみならず家族や友人ら、多くの人たちの支えあってのことと思い、その活躍に感謝する」と挨拶した。
 謝辞では、中西さんが「三年前に体調を崩してしまった。多くの友人が逝ってしまい今は一人だ。皆さんと共にコロニアに貢献したいと思いつつ、百年祭まで生きたいと願っています」と述べた。
 「懐かしく思い出すのは日本」だという。「戦争のころだった。満州事変に行ったよ」と日本への思いは尽きない。「できることならまた(日本へ)行きたい」が、体調に不安があるため断念している状態だ。
 途中涙で言葉を詰まらせる場面もあり、会場は一語一語を感慨深く聞き入っていた。
 続いて、野村さんは「身にあまる受章だ。これまでの多数の援助をありがたく思う。多くの老人ホーム、厚生施設の運営など、コロニアの人のおかげと感謝しています」と話した。
 昭和三十年にブラジルへ移住。長年モジ・ダス・クルーゼス市の福祉団体や、サンパウロ日伯援護協会傘下の施設の経営向上、発展に尽力。現在は特別養護老人ホーム「あけぼのホーム」の経営委員長に就くかたわら、同協会の第二副会長だ。
 エミリアさんは「花を愛し協力してくれた全ての人に与えられた賞だと思う。一時生け花ブームにもなったが、これからも普及に努力していきたい」と挨拶した。
 母親と共に生け花を始め、二十五年前日本の美しい芸術をブラジル人に伝えるため「ブラジル人の中に入ろう」と独立。八四年に華道家元池坊ラテンアメリカ橘支部を立ち上げた。
 「花材を入手することの困難もあって、疲れてやめようと思ったことがあった。なぜこんなことを、とも思いましたが、ただ好きで続けてきました」と生け花への思いを語る。
 日本文化をポルトガル語で表現し伝えることが難しかったというエミリアさんは「『数少なしは意味深し』という捉え方を若い人にも伝え、ますますの発展を目指します」と展望を述べた。
 引き続き、大サロンに場所を移してビュッフェ形式で記念パーティー催された。酒井清一サンパウロ日伯援護協会会長が乾杯の音頭を取り、歓談は十時ごろまで続いた。

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