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伯ジャーナリストが見た「日本の食」=五感で堪能した2週間=連載(2)=繊細さの極致を知る=「吉兆」嵐山本店の特別料理

2006年6月15日(木)

 さて、日本での旅行中、私は朝食から夕食まで日本食だけを食べていた。イタリア人、ポルトガル人そしてスペイン人の子孫である私にとって、これは素晴らしい体験であった。
 なぜなら、小さいころ、近所に日本人の「おじさん」や「おばさん」が住んでいて、彼らが日本料理の素晴らしい世界へ導いてくれたことから、私は日本料理のファンであったからである。
 京都では、私のこれまでの美食体験で最も印象的な体験をした。それは、昔から日本全国に名が知られている京都の高級料亭「吉兆」でのことである。
 吉兆嵐山本店総料理長の徳岡邦夫氏が特別に用意してくれた夕食は、素材と調理法、どちらにおいても心に刻み込まれるごちそうであった。
 料理を構成する各々の素材の味をしっかりと引き出すため、細心の注意が払われていることが伝わってくる。海の香りを思い起こさせる、奥行きのある味の出汁で煮込まれた牡蠣など、忘れることのできない、繊細さの極致を極めた料理を味わうことができた。
 また、古美術品で飾られた部屋を私のために用意してくれたのだが、そこでいただいた徳岡氏自ら調理したカニも素晴らしいものであった。

◇伝説の和牛ステーキを味わう

 港町の大都市、神戸は美食家にとって憧れの街である。和牛で名高いこの町の名は世界中で知られている。誰でもその肉を味わうことを夢見ており、実際、神戸牛はほとんど伝説的な存在になっているほどだ。
 牛にはマッサージ部屋が用意され、食事にはビールも出される。肉牛をこのように扱っている場所がこの地球上でほかにあるだろうか、それもすべて霜降り肉をつくり出すためにである。
 創業一八八五年のレストランMOP*(注=Rの鏡文字)(モーリヤ)で、テンダーロイン、サーロイン、プライムリブの三つの部位を味わうことができた。
 鉄板付きのカウンターの後ろで、シェフがピンクの色合いに白い線の入ったビーフステーキを用意する。夕食は鉄板の上にたらした少量のオイルで始まった。
 鉄板でニンニクのスライス、モヤシ、シイタケ、ナス、ニンジンなどの野菜を炒める。非常に柔らかい肉を焼くと、おいしそうな甘い香りが辺りに漂う。
 味つけのため、シェフは赤穂塩とひいたばかりの少量のコショウをふりかける。さらにレモンと自家製の味噌を加えた醤油ダレにつけていただく。
 例えようもない食の喜び。この初めての経験で私はテンダーロインが持つ風味のとりこになったが、この店を推薦してくれた新渡戸素(もとし)氏(小野八幡神社宮司)は、テンダーロインよりも脂肪分を含む肉を好む。彼らにとっては、脂肪分の割合が高いほど良い肉なのである。
 神戸では新渡戸夫妻のお宅に宿泊させていただいた。典型的な日本の家庭を垣間見るチャンスに恵まれ、この貴重な経験から、日本人が客人をもてなすことが大好きなことが理解できた。つづく(原文はポルトガル語)

■伯ジャーナリストが見た「日本の食」=五感で堪能した2週間=連載(1)=出汁巻き卵の味比較=塩気が利いているブラジル

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