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伯ジャーナリストが見た「日本の食」=五感で堪能した2週間=連載(4)=専門レストランの創造性=驚くメニューの豊富さ

2006年6月22日(木)

 東京だけでなく、日本のほかの都市でも同じであるが、レストランは一つの料理を専門メニューとしており、この点でブラジルとはまったく異なっている。
 ブラジルの日本レストランではメニューが豊富で、チャンコ鍋、トンカツ、ウナギ、鯛飯、スキヤキ等々、さまざまな料理が味わえる。
 私が知っている日本で最も魅力的な料亭のひとつに「黒澤」がある。あの映画監督・黒澤明の息子さんが経営されている店だが、店内の雰囲気は映画セットを感じさせ、いくつもある小部屋には、デザイン画、食器、黒澤明監督自筆の絵コンテやシナリオなどが飾られている。そのような雰囲気のなか、おすすめ料理である黒豚のしゃぶしゃぶをいただいた。
 「黒澤」が伝統だとすれば、築地市場近くにある「wanofu CLUB」は、正反対の現代風レストランである。
 老舗料亭に現代的な装飾を取り入れて改装した店舗からは、西洋と東洋を混合させ、それでいながら日本的な本質を決して失うまいとする姿勢がうかがえる。
 バランスを保ちながら、西洋料理と東洋料理の融合が完璧に機能している。ここでは、シェフの作品を味わえるおすすめメニューから選ぶのが最良の方法だろう。
 脇屋友詞氏が経営するレストラン「Wakiya 一笑美茶樓」は、氏の新たな視点を加えた中国料理を提供している。その「新中国料理」は、脇屋氏のような大巨匠でなければ不可能な日本的要素が盛り込まれている。
 選び抜かれた食前酒とクリーミーなフカヒレの姿煮は、味覚を大いに刺激してくれた。それにしても、せいろにエビ、魚介類を入れ、上質の中国茶を注いで石の熱で蒸した一品は比類なきものだった。こうして調理されたエビには中国茶の香りがたっぷりと染み込んでいた。
 東京では日本で最も高い評価を得ている料理学校のひとつの校長である服部幸應氏にお会いできた。日本の食習慣や過去三十年における外国の影響、特にアメリカの影響による変化について話し合ったほか、校内の近代的な料理設備を見て回った。
 今回の旅は、視覚、嗅覚、味覚、触覚そして聴覚と、五感すべてが感動で満たされた日々であった。暑いスープのなかで豆の煮える音や鉄板の上で肉が焼ける音も、耳に心地よいものであった。
 旅の終わりを前にして、これほど内容が濃く、バラエティに富んだ体験を思い出すと、そのときの味覚が口に広がり、まだ母国に帰る前だというのに、日本へまた戻りたいという大きな気持ちが沸いてくるのである。おわり(原文はポルトガル語)

■伯ジャーナリストが見た「日本の食」=五感で堪能した2週間=連載(1)=出汁巻き卵の味比較=塩気が利いているブラジル

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