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ついに日本方式決定=デジタルTV=新たな日伯交流に期待=商議所「待ちに待った」=竹中大臣来伯へ調整開始

2006年6月23日(金)

 いよいよ大統領の決断が下った。デジタルTV方式に関して、ブラジル政府は二十二日午前、在ブラジリア日本国大使館に「日本方式採用」を正式に通知した。今月二十九日に首都で調印式典が開催される予定。ブラジル政府は竹中平蔵総務大臣(和歌山県出身)の訪問を強く望んでおり、日本側もその方向で事務的な調整に入った。同大使館によれば二十二日昼現在で、大臣がサンパウロで歓迎会や日系人との懇談会に出席するかどうかは、まだ未定。
 総務省、経済産業省、外務省の課長レベルを中心にした日本からの使節団十五人は三日間の協議の最終日、二十一日午後、「最後の提案」をブラジル側に手渡した。ここまでが最大限の譲歩のレベル、あとはブラジル側の判断待ちの状態だった。
 当初二月に予定されていた発表は何度も延期された。堀村隆彦大使は今まで、根気強く先頭にたってブラジル政府に働きかけてきた。「ようやく二十九日の具体的な事務的調整が始められます」。決定を伝えた書記官の声は弾んでいた。
 最終期限の二十二日午前、大統領の裁可をえたイタマラチー関係者から堀村隆彦大使に連絡が入った。
 合意文書の内容は、詳細を協議する共同作業部会の設置、技術協力、電気産業への協力、ハイテク関連の人材育成、知的所有権の扱いに関するもの。基本的には四月に合意された覚書を踏襲している。
 大竹茂公使は今回の決定により、「今後の日伯交流の大きなひとつの具体的な案件ができた。波及効果を期待したい」と喜ぶ。
 産業の近代化を図りたいブラジル側の期待にこたえ、産業界の裾野を支える人材の育成に協力することも文書には盛り込まれている。百周年を目前に、技術移転だけでなく、広い交流促進につながる可能性がある。
 二十九日にブラジリアで行われる調印式には、竹中大臣の出席がブラジル側から要請されており、日本の閣議を経て正式に決定される。二階俊博・経済産業大臣(和歌山県出身)はWTO交渉の関連などで時間の調整がつかない模様。
 大臣は、二十九日に日帰りで首都での調印式に出席するとの情報があり、その晩はサンパウロ市で日系人らと懇談会や歓迎会が行われるかどうかは、まだ未定。
 時事通信によれば、「ブラジル国内での地上デジタル放送関連市場は、買い替え需要などで十年間で二百億ドル(約二兆二千九百億円)に達する可能性がある」という。
 ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)は二十二日、「待ちに待った決定。並み居る強豪、欧州勢に打ち勝った取り組みに感謝します。移民百周年を目前に、今回のインパクトは計り知れません」との最大限の喜びのメッセージを大使館に送った。

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